「ねえ、まだ?」



開いて座った脚の間、向かい合って座った彼女に

同じことを尋ねてもう4回。

両頬に添えられた、微かに震える柔らかい手の平も

少し汗ばんできた。



「出来ないなら降参すれば」

「で、出来ます!」



亮さんの誕生日だから。

自分でそう言いだしたくせに、キスひとつ出来ずに

ぷるぷる震える志保を見るのも面白いと

大人しく待ってはいたけど、そろそろ飽きてきた。



「緊張しすぎ」

「だって…」

「はいはい、いいから早くしてよ」

「分かってます!」



漸く決心出来たのか、意気込んで近付いてきた唇は

触れたと思った瞬間には離れていこうとするから

逃がすまいと、彼女の後頭部に手を伸ばした。



「んっ?!」

「こんなんで足りる訳ないでしょ」



お前が言ったんだよ。誕生日だから、って。

おかわり、くれるよね?



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