昔話
むかしむかし、ある国の王様は思いました。言葉を聞かずに育った赤ん坊は、一体どんな言葉を発するのだろう、と。
王様はたくさんの赤ん坊を集めて隔離して、メイドにこう命じました。
「食事や入浴、寝床や玩具。全て最上級のものを認める。けれど決して、話しかけてはならない。目を合わせてはいけない。決して、決して赤ん坊に笑いかけてはいけない。」
王様は赤ん坊がどんな言葉を話すのか、とても楽しみにしていました。この国の言葉を話すのか?他国の言葉を話すのか?はたまた未知なる言語を話すのか?
──しかし赤ん坊は、言葉を発する前に死んでしまいました。
誰からも優しい言葉をかけられず、頭を撫でてもらう事も、笑いかけて貰うこともできず。誰の愛情も受ける事ができないで。
赤ん坊は、生きていく事ができませんでした。