>大きくなりたいと思っていた。
大きくなれると思っていた。
大人には必ずだれもが成長するし、大して何かをしなくてもみんな同じ場所に行きつくのだ。そのことを漠然と理解したのは、19になったばかりだった夜のこと。
「そう、思えるようになったばかりだったのに」
と、私は誰に言うでもなくそれを言葉にした。
「みんな死んでしまったの」
大きくなりたいと思ったのは、皆がいたからで。大きくなったら、あの人に、好きだと伝えられるんだと思っていた。
「死んじゃったら、意味ないねぇ…」
大きくなっても、意味がないねぇ。と、思ったよりその声は大きく、自分の耳に木霊した。
「エースはね、ティーチを追いかけて船を降りちゃった」
「マルコはね、もう、ここのところずっと上の空」
「オヤジはね、お酒を飲む量が少しだけ増えたの」
皆、前の皆が死んじゃって、どうしたらいいか分かんないんだって。と、私は自分の両手に抱え込んだ、歪な形の紙の束を見た。
「ぜーんぶ、サッチのせいなんだよ?」
ぜんぶ、貴方がいけないんだ。
「黙ってどこかに行ってしまったら、みんな心配するんだよ」
そして、もう二度と帰ってこないと分かったら、とても悲しくなるのだ。
悲しいと、全部おかしくなってしまう。エースや、マルコ、オヤジみたいに。四番隊の、皆のように。それから、
「サッチが好きだって言ってたお花がね、もう、どこにも咲いてなかったの」
「だから、紙で一生懸命作ってみたけど…」
やっぱり、本物の方が良いよね。と、最期の言葉は声にならなかった。
「急にいなくなった、サッチが悪いんだよ」
皆を殺しちゃった、サッチが悪いんだ。
「大好きだよ」
さようなら、なんて言わないよ。貴方が、悪いんだから。
…………;20130225
もう、大きくなんてなりたくないよ。
DODO