>某日。その日は、久しぶりによく晴れた日だった。風を受けて航海するにはうってつけだというのに、残念ながら、風は一向に吹く気配がなく。いわゆる、凪の海の上で、麦藁海賊団のクルーたちは思い思いに過ごしていた。
日差しは強く、甲板の芝生、そのパラソルの下にはナミとロビンが優雅に時間を過ごしていたし。その陰の下で、チョッパーはすやすやと眠っていた。
ウソップは第二工房(支部とも言う)で何か作業中で、ゾロは朝食後から見張り台に引きこもって、それから一度も顔を見てない。
サンジはナミとロビン、それから私の分の何か冷たいデザートを作っていたし、その側でフランキーはコーラを片手に設計図を描いていた、と思う。
私は、というと。
今朝は一番に早起きなサンジと同じタイミングで目が覚めて、読みかけの本を朝食を作る音を聞きながら読み終えることができたし、それから午前中は船の掃除をいつもより完璧に終わらせることができた。
みんながどんな行動をしていたかが分かるのも、掃除をして船内を駆け回っていたからだ。

「青」

でも、掃除も、みんなの場所を把握してるのも、私にとっていつものこと。それでも、みんなの姿をわざわざ思い出したりしたのは、たった今目の前にいるひとを見かけなかったのを思い出したからで。
「もう遅いけど。おはよう、キャプテン」
「おう!もしかして、もう昼飯終わったか?」
男部屋の掃除も、私は別にいやいややってるわけじゃない。むしろ、どちらかといえば、男の子の部屋の方がわくわくするものがあって好きだったりした。
掃除があらかた終わって、さて、その部屋を出ようとしたときのこと。昨晩は寝不番だったキャプテンが、のっそりと起きあがってきたのだ。
「うん。でも、サンジ君がたっぷりキャプテンの分も残してたよ」
「そっか!じゃあ、さっそく食いにいこう」
ぴょん、と跳ね起きたキャプテンは何もいわずに、私の側にきて「しししっ」と笑った。そのまま部屋を出ていってしまう。

「あ」

わたしの上げた短い声なんて、閉まった扉の大きな音でキャプテンには届かなかっただろう。
なんてことはない。ただ、自分の両手に持っていた重い二つのバケツ。それを、キャプテンが外へ運んでくれた。ただ、それだけのこと。
けれどそれから、数秒、静かな部屋の中で立ちすくんでいた私は、やっとのことで声を出した。
「・・・・・・。人間ああも天然だと、惚れてる側は苦労するなァ・・・」
男部屋には、わたししかいない。
ほかのみんなは、この凪の海の上で思い思いに過ごしているから。
だから、私の耳が少し赤いことも、ゆるむ口を手で隠してることも、誰も知らないこと。

広い海の上で、今日のとても静かな一瞬。私はその、今まで何度もあった「その時」を、静かにまた、大事な場所に覚えておいた。

............20130118001
食堂で。たくさんの食事がどんどんと減っていくのに、それでもちょっと時間がかかるのなら。
小さなお皿の中の冷たいシャーベットは、早く食べ過ぎないようにちょっとずつ減らしていけばいいね。
DODO