ロアは広い屋敷で兄と暮らしている。
兄といっても死んでしまった姉の夫だ。
正直なところ、姉の結婚を祝福したのはロアしかいないほど。兄の身内からは望まれないものだった。
家族となったロアに対してもほぼいないものとして疎外されている。
色魔という夢魔種のなかでも下位の悪魔であるロアの服は露出の多い、破廉恥な、といえるものだ。
十代で学生であった。いまは夢魔用の教育選科に在籍している。
 服に関しては先輩からも変えるように言われている。露出狂などともいわれたがいまのところかえる踏ん切りがつかないのだ。
 義兄に恋してしまった哀れな少年は少しでも意識してほしいと服をいまのようにし始めたからだった。

恋を叶えることはできなそうだ。亡くなってしまった姉をいまも愛しているのだと知っているから。
ロア自身も姉から取ろうと思ってはいない。
義兄がどうしたいかだ。

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