先輩。恋って分かります?
「先輩。恋愛ってわかります?」
『恵くんは私の事なんだと思ってるの?馬鹿だと思ってるの?恋愛くらい分かるよ!男女のいちゃいちゃちゅっちゅじゃん!』
ドヤ顔で胸を張り、言いきる先輩。はぁ・・・。と、ため息が出てしまう伏黒。馬鹿だと思っているがこの人に限ってはそこが可愛いとさえ思えてしまう。恋愛とは何かわかるかと聞いているのにいちゃいちゃちゅっちゅという返答は実は間違いでは無いのではないかと錯覚しそうになるくらい自信満々の先輩を見て思わず笑みが漏れ出る伏黒。
『なに笑ってるの?さては恵くんが恋愛って
何か分からないんでしょ~』
とニタニタし出した先輩に嫌な予感がする。
『私がめぐめぐに恋愛とやらを教えてあげるよ!』
腰に手を当てふんぞり返る先輩。さっき自分で言った言葉を忘れているのだろうか。この人の中での恋愛とは男女がいちゃいちゃちゅっちゅする事なのだろう?何を教えてくれるのだろうか。
「先輩。恋愛とは特定の異性に特別の愛情をいだき、高揚した気分で、二人だけで一緒にいたい、精神的な一体感を分かち合いたい、できるなら肉体的な一体感も得たいと願いながら、常にはかなえられないで、やるせない思いに駆られたり、まれにかなえられて歓喜したりする状態に身を置くこと、らしいですよ」
スマホで恋愛の意味を調べて読み上げるもぽかんとしている先輩。あほ面がほんとに愛おしく、もっと眺めていたくなる。
「先輩わかりました?」
『んーん。難しすぎて何言ってるか聞き取れなかった』
「特定の異性に対して他の全てを犠牲にしても悔いないと思い込むような愛情をいだき、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと。とも書いてまりますね」
『ねぇ、さっきから何読んでるの?詩?』
「馬鹿なアンタでも分かるように言うとお互いに恋をして愛を感じるようになる事、会いたい、いつまでも そばにいたいと思う、満たされない気持ちを持つ事、恋を感じた相手を、たいせつに思う気持ちらしいです。」
わかりました?と聞かれ少し分かったのか頷く先輩。
『恋愛って難しいね。』
「そっすね…」
そう。伏黒はもう1年近くこの先輩に絶賛片想い中だった。
最近高専にやってきた虎杖や釘崎にも多分この気持ちはバレている。先輩以外の他の2年生もみんな知っているが本人だけはどうしても気づかないのだ。この人には遠回りにアピールしても伝わらないと1年で散々思い知らされた。周りにも気持ちがバレているなら密かに思いを伝えなくていいのでは?と思った伏黒はこれからは直接的な表現で先輩にアプローチすると心に決め、今日この質問をしたのだ。
「で?先輩は俺に恋愛を教えてくれるんですよね?」
素敵な笑みで見下してくる伏黒にぐぅ…と言葉に詰まる先輩。
「先輩のいうところの恋愛とは男女のいちゃいちゃちゅっちゅなんですよね?俺には分からないんで教えてくんないすか?」
ジリジリと詰め寄ってくる伏黒。
ちょ、ちょっと待ってよ!と焦る先輩を見て可愛いなって思ってしまう。
『さっき恵くん恋愛の意味教えてくれたじゃん!
ね?あれで分かったよね?』
「先輩はあれで理解できたんですか?
いちゃいちゃちゅっちゅって言ってた人が」
小馬鹿にしたような笑みでこちらを見てくる伏黒にかちんと来た先輩は言ってはいけない言葉を言ってしまった。
『いいよ!私先輩だから教えてあげる!
めぐめぐの彼女(仮)になってあげるよ!』
「は……?」
言い切った先輩は鼻息荒く、だが自信に満ち溢れている顔をしているのを見るとこの人は、これだから一緒に居てて飽きない。自分が言っている意味を分かっていないのだろうが、そんな所がやはり可愛いと思っている伏黒。
『え?違った?あはは、じょーだんでしたー!』
少し冷静になった頭で考えたのか焦りだした先輩だが、もう遅い。
「先輩。今更冗談でした、は無理ですよ。
(仮)の彼女になって教えてくれるんすよね?恋愛」
最後の恋愛だけ耳元で言う伏黒は(仮)ってなんだよと思っているが自分から言ってくれたのでそれに乗っかるに決まっている。今からゆっくり先輩を落としていこう。そう心に秘めて続けてこう呟く。
___ 覚悟しててください ___
耳まで真っ赤な先輩彼女(仮)と今から本気出す後輩彼氏のお話は続くかもしれないし存在しないかもしれない。