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「…また居る」
『あ?…あぁ、あいつか。』

騒がしい女子生徒の中に一人、ただ静かにこちらにカメラを向ける女子。
顧問に聞けば写真部でも何でもないが、ただ撮らせて欲しいと頼まれたので邪魔しないのを条件に許可を出したそうだ。

「キャー!!」
「及川さーん!!」

サーブ練習だけでこの調子。
彼女はただ及川にカメラを向けてシャッターを切った。

いい写真が撮れたのか彼女はカメラを見て満足そうに笑った。




『お前らは知らねーの?』
「中学のとき一回同じクラスでしたよ。」
「中二からずっと同じクラスです。」

部室で着替えを終えベンチに座りながら一年にそう聞く。
金田一はよく分からないやつですと付け加えて、国見は確かになんて真顔で呟いた。

「あ、でも」
『ん?』

何かを思い出したように顔を上げる国見。

「多分影山の彼女か何かだと」
『影山…』

国見が言うには他の男子と比べて影山との距離が近いらしい。
よく話しているところも見かけたという。

「飛雄ちゃんにあんな可愛い彼女が居るとか許せないね」
「及川先輩は」