残響ユートピア31
外からは花火の音が聞こえていた。青い空に、体育祭開催を合図する色のついた煙が弾ける様子はきっと鮮やかに映るだろう。
雄英高校体育祭当日。天候に恵まれて、まさに体育祭日和となった。
校舎を離れ、雄英敷地内にある特設スタジアムにバスで移動をして、各クラスごとに用意された控え室で入場まで待機中だ。どうやら屋台がいくつも出ているようで、会場の外はちょっとしたお祭り騒ぎだ。
「みんな準備はできてるか!?もうじき入場だ!」
飯田が委員長然とした態度でクラスメイトに呼びかけるが、クラスメイトたちは各々が準備を進めて、飯田の言葉に反応を示す者は少ない。控え室の空気はやはりいつもの教室とは少し異なって、みんなどこか落ち着かない様子だ。
「コスチューム着たかったなー」
「公平を期すため着用不可なんだよ」
芦戸と尾白の会話に、奏はそれもそうかと頷く。ヒーロー科のみに与えられた被服控除は、こういった全クラスで行う、しかも競い合う場では不公平だもんな。勝己の籠手とか撃たれたら他クラス普通に死ぬだろうし。
公正を期すため、全学年全学科全クラスが体育着の着用を義務付けられている。一部申請をすればサポートアイテムの使用も認められるようで、青山のベルトはそれに当たるらしい。
「もう始まるのか……」
「人、人、人……」
「音波……お前緊張とかしねえのか?心臓鉄でできてんのか?」
足元から声がかかり、視線を下げると峰田がどこか疑わしげな目で奏を見上げていた。答えたのは手のひらに人という字を書き連ねている緑谷だ。
「かなちゃんは昔からこういうときでも緊張しないんだ……」
「まじかよ鋼のメンタルかよ」
「まあ、普段通りが一番だよ」
「それができたら苦労しねえだろ!」
怒る峰田はクワッ、と目を見開いて、緑谷と同じように手のひらに書いた人という字を勢いよく飲み込んだ。逆にそれだけ元気なら大丈夫だと思う。
峰田とのやり取りに、気の抜けたような苦笑いをする緑谷を見て、奏は少し心配になる。雄英高校体育祭は、学年ごとに、学科関係なく競い合う。例年通りなら予選で人数を絞り、本戦まで勝ち進んだ生徒が一対一で戦う場を設けられるはずだ。
最初はあまり気の乗らなそうだった緑谷も、爆豪に触発されたのか体育祭への向き合い方に変化が見える。怖いのはその変化だ。また無鉄砲なことをしないかが不安だ。それに個性の制御も一度はできたと聞いたけど……完全に習得したわけじゃなさそうだし。USJで、オールマイトを庇おうと飛び出した緑谷を思い出す。まあ、あのときと今は違う。命が懸かっているような戦いじゃない。
「緑谷」
不意に、低く冷めた声が幼馴染みの名前を呼んだ。呼んだのは轟で、珍しいと奏も彼の方へ目を向ける。出久と轟くん、接点あったか?
「轟くん……なに?」
「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う」
「へ!?う、うん……」
轟の切り出し方に、奏は顔には出さずともなんだ?と訝しんだ。随分な言い草だ。まあ間違ってはいないけど、それを改めてこの本番前に突き付ける意味がわからない。なんなら神経を疑う。
緑谷もなぜそんなことを急に言われたのかわからないのだろう。びくりと肩を跳ねさせて、曖昧に頷いた。
轟が緑谷を見据える。口調は淡々としているが、目の奥に嫌な熱がある。
「お前、オールマイトに目ぇかけられてるよな」
「!」
「別にそこ詮索するつもりはねえが……」
轟は表情を変えずに短く言い放つ。一方的な宣戦布告。
「お前には勝つぞ」
声は極めて冷静だ。けれど熱が籠った声だ。表面には出ない。なにかが沸るような熱。なんかちょっと、あんまりいい熱の籠り方じゃないな。
「おお!?クラス最強が宣戦布告!?」
クラス最強。まあそう見えるよな。推薦入学で、戦闘訓練であんだけの成績出して、個性も強くて。そこは別にどうだっていいんだけどさ。
室内の空気が変わる。クラスメイトたちの視線がみんな轟と緑谷に集まっている。
「急に喧嘩腰でどうした!?直前にやめろって……」
「仲良しごっこじゃねえんだ。なんだっていいだろ」
この不穏な空気を取り払おうと、切島が轟の肩に触れて止めようとするが、轟は切島の方を見ないまま、その手を振り払う。
「仲良しごっこしろとは言わないけどさ……不用意に喧嘩を売る必要もないだろ」
「かなちゃん……」
奏は一歩前に出て、轟の視界に無理やり入り込む。左半身で緑谷を庇うように前に出ると、轟が目だけを奏に向けた。左右で色の違う瞳は、あまり感情が見えない分、太々しく映る。
「自分の方が実力は上だって言っておきながら、出久に喧嘩売る理由がわかんないな。ヒーローになるなら大事だと思うよ。協調性」
いつもと同じ微笑みを見せて、奏が言う。けれどその目は冷え切っていて、室内の温度が少し下がる、
視界の端で、上鳴が口元を覆いながら同じテーブルに着いていた爆豪に「音波怖……怒るとあんななん……?」と言うのが聞こえた。怖くないよ。
轟は表情を変えずに、奏を見る。奏も微笑みを崩さないまま轟の視線を受け止めた。
オールマイトに目をかけられてるのが気になるのはやっぱり他の人にもわかっちゃうよな。でもその場合悪いのはオールマイトだから出久に変なちょっかいかけるのやめてくれない?というか宣戦布告にそれを引き合いにするってことは、出久がオールマイトに目をかけられてるのが気に入らないってことかな。轟くんってもしかしてオールマイトファンか?
視線を正面から交え、なにも言わない轟と奏を見兼ねてか、背後から「あ、あのっ」と緑谷が声を出した。奏は一歩下がって緑谷の方を振り返る。轟の意識も再び緑谷に向いたようだった。
「轟くんがなにを思って僕に勝つって言ってんのか……は、わかんないけど……」
緑谷は俯いたまま、静かに両の拳を握る。この状況に困惑している様子はあったが、意外にも声に震えや迷いがない。
「そりゃ君の方が上だよ……実力なんて大半の人に敵わないと思う……客観的に見ても……」
「緑谷もそーゆーネガティブなこと言わねえ方が……」
「でも……!」
緑谷の言葉に、切島が苦く笑ってやんわりとそれを止めようとする。しかしそれを聞かず、感情を乗せた言葉を続けた。
「みんな……他の科の人も、本気でトップを狙ってるんだ。僕だって……遅れを取るわけにはいかないんだ」
緑谷の言葉を聞いて、普通科の、あの彼を思い出す。本気でトップを狙っている。それを聞いて負けたくないと緑谷が示すのに奏には少し驚いた。
出久は、誰だって救けようとしてしまう。だからこういう直接的に競い合う、他を蹴落として勝ちを取るような体育祭は苦手だと思ってたけど……
緑谷は顔を上げ、まっすぐに轟を見る。逸らさずに見つめ返すその目には決意が見えた。
「僕も本気で、獲りにいく!」
「……おお」
緑谷の返事に、轟はそれ以上なにも言わなかった。あの一方的な宣戦布告を、正面から受け止めて返すあたりが緑谷らしいなと、眉を下げて笑う。奏は笑みを讃えたまま、ゆっくりと視線を斜め下に逃した。
みんな本気で、か。緑谷の言葉が、奏の胸に引っ掛かる。心のわずかにささくれだったところに引っ掛かって上手く取れない。喉の奥に小骨が刺さったままのような感覚に妙な焦りを覚えた。
別に体育祭にやる気がないわけじゃない。あの襲撃事件との折り合いはもうつけた。気持ちに折り合いをつけるのは得意な方だ。真剣に取り組む気でいる。手を抜くつもりもない。けれど周りとの差を自覚する。
みんなにある熱が、僕にはない。
同じ部屋にいるのになぜか取り残されたような気持ちになって、けれどその気持ちもまたゆっくりと他人事のように思考から離れていった。
△▼△
『雄英体育祭!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!』
外からプレゼント・マイクのスピーカー越しの声が飽和して聞こえてきた。マイクの口上からしても、やはり体育祭のメインはヒーロー科らしい。
奏はアイマスクを落ち着く場所に収まるようにつけ直し、いよいよだなと光の差し込む入場口の方を見る。待機する通路が薄暗いせいで、外から漏れる光が目に痛い。左右を見ると、クラスメイトたちがみんな気を引き締めた顔で立っていた。張り切ってるな。
『どうせてめーらアレだろ!こいつらだろ!?敵の襲撃を受けたにも拘らず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!』
お、どうやら出番っぽい。マイクの言葉を聞いて、誰からともなく入場口に向かって歩き出した。奏もクラスメイトたちに歩調を合わせる。
『ヒーロー科!一年!A組だろおぉ!?』
入場すると、物凄い歓声に迎えられて、奏は思わず目を眇めた。円形のスタジアムは中央のフィールドを取り囲むように高い位置でぐるりと一周が観客席になっている。全方位から浴びせられる音の波に、予想はしていたがこれほどかと額に手を当てた。
上を見上げればぽっかりと天井が空いていて、空の青が今にもこぼれてきそうだ。
「わあああ……人がすんごい……」
震えた声を所々裏返して、緑谷が胸に手を当てながら観客の方に目を向ける。見た感じでは客席にいるほとんどがプロヒーローのようだ。あとはカメラを持ったマスコミが多い。そういえば毎年中継されてるっけ。
「大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか……!これもまたヒーローとしての素養を身に付ける一環なんだな」
飯田がやや険しい顔で客席の方を見ながら言う。色々考えられてるもんだね体育祭。
「めっちゃ持ち上げられてんな……なんか緊張すんな……!なあ爆豪!」
「しねえよ。ただただアガるわ」
ソワソワする切島とは対照的に、爆豪はギラギラとした笑みを浮かべて落ち着いている。勝己ってプレッシャーを高揚に変えるタイプだからな。
「やっべ緊張してきたぁ〜〜!」
「上鳴くんもナーバスになるタイプじゃないよね」
「つか音波普通すぎじゃね!?緊張しないん!?」
「あんまり」
いつの間にか近くにいた上鳴の言葉に、奏はさらりと答えて見せる。それよりもちょっとうるさすぎる方が気になるんだよな。
A組に続き、B組、普通科、経営科、サポート科がそれぞれに入場してくる。
フィールドの中央には簡易ステージが用意されていた。クラスごとにステージの前に並び、ステージの上には一人の女性が立つ。腰まで伸ばした黒く長い髪。赤い眼鏡は肌の白さを際立たせる。女性らしさを全面に押し出すような、やや過激なヒーローコスチューム。18禁ヒーロー、ミッドナイトだ。彼女が登壇したと同時に峰田からいやらしい音があふれ出した。18禁なのに高校にいていいものなのだろうかと奏が思っていると、同じようなことを常闇が口にして、それに対して峰田が「いい」と即答していた。ブレないね峰田くん。ミッドナイトは手に持ったムチをピシャンと打ち鳴らす。
「選手宣誓!」
あ、そういうのちゃんとあるんだ。色々ぶっ飛んでる雄英と言えど形式的なものはちゃんと守るんだな。
そんな風に思いながら、奏はぼんやりとミッドナイトを見上げていた。意識が引っ張られたのは、彼女の少し低めの、艶やかな声が知っている名前を呼んだからだ。
「選手代表!一年A組!爆豪勝己!」
え?勝己?
奏は思わず顔を顰めてミッドナイトを見上げる。すぐそばで緑谷も驚いたように目を丸めていて、当の爆豪は表情を変えることもなく前に出る。あっ、あの野郎ポケットに両手突っ込んだままじゃん。やめろ危ないし態度悪いから。
「え〜、かっちゃんなの!?」
「あいつ一応入試一位通過だからな」
「いや〜……もうちょっと他に適任いなかったかな……」
そんな会話を緑谷、瀬呂としていると、普通科の並んでいる方から「ヒーロー科の入試な」とどこか棘のある声が聴こえた。こちらの会話が聞こえていたのか、声のした方へ視線を向ければ、やはり普通科の生徒たちがつまらなそうにこちらを見ている。
わ〜、思ったより露骨に嫌われてるな、これ。この間の勝己のせいかな。それともヒーロー科全体が嫌われてるのかな。
そう考えている間にも、爆豪は登壇し、ミッドナイトの前に立つ。「せんせー」と間延びした、あまり熱意のない声。奏はその背中をハラハラと落ち着かない気持ちで見守る。
頼むから変なこと言うなよ。頼むから。念を送るように何度も心の中で訴える。恐らくクラスメイトたちも奏と同じような思いを抱えているのだろう。A組だけなぜか妙な緊張感に包まれていた。マイク越しに、爆豪の息を吸う音が聞こえる。
「俺が一位になる」
「絶対やると思った!!」
爆豪の宣誓を聞いた直後、切島が叫ぶ。奏はため息をついて俯き下がった頭を支える。
「あいつほんと……あいつ……」
馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけどまさかここまでとは。けれどそうは思いつつも、奏もどこかでやるとは思っていた。だって爆豪勝己はそういう人間だ。勝利にどこまでも貪欲で、妥協のできない人間だ。そういうところを好ましく思う。けれどそれは長く付き合ってきた奏だから思うわけであって。
「調子乗んなよA組コラァ!」
「なぜ品位を貶めるようなことをするんだ!!」
「ヘドロヤロー!」
学年全体で起こるブーイングの嵐に、奏はまたため息をつく。なんで自ら敵を作りにいくんだあいつは。ていうか飯田くん混ざってたな。もっと言ってやって。
当の爆豪はと言えば、ステージの上から「せめて跳ねのいい踏み台になってくれ」と言い、顎を上げて、親指で首を斬るようなハンドサインをするほどだ。
「どんだけ自信過剰だよ!この俺が潰したるわ!」
聞こえてきた声の方を向くと、B組の生徒がいた。この間A組の教室の前にいた不敵な生徒は怒りに燃えている。
自信。確かにそうにも取れる言動だ。自分に敵はいないとでも言うよな。でも奏はわかる。あれは自信じゃない。昔の爆豪ならば、ああいうときは笑って言う。けど彼は選手代表で名前を呼ばれたときからずっと淡々とした、色のない表情だ。
『上に上がりゃ、関係ねえ』
『俺はここで!一番になってやる!!』
思い出す言葉に、まったくあいつは不器用だなと心配になる。あの宣誓は自分を追い込むためのものだ。高みに行くために退路を奪っている。
爆豪はブーイングを浴びながら、薄く眉を寄せてステージから降りてくる。爆豪は誰とも目を合わせず、ただ前だけを見てA組の方へ戻ってきた。戻る際に緑谷と奏に肩をぶつけていく。わざとだな。
どこまでもストイックな幼馴染み。そういう面が好きで、尊敬すらしている。けどやり方は変えた方がいい。敵を作ることが、自分を追い込むこととは違う。そしてなによりクラスを巻き込むのはやめろ。別に自分だけならいいけれど。
奏は斜め後ろに立った爆豪の方を振り返り、小声で話しかける。
「言っただろ、敵増やすなって」
「言っただろーが、返り討ちにしたるって」
ケッ、と吐き出すように返された言葉に、奏はとうとう頭を抱えた。切島がポンと労るように肩を叩いてくれる。ありがとう。
「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう!」
「雄英ってなんでも早速だね」
「もうちょっとテンポ落として欲しいよね」
ミッドナイトの進行に、麗日が呟く。いやほんとにそう。もっとゆっくり行って欲しい。
微かな重低音は恐らく機械が作動した音で、ミッドナイトの後ろにモニターが投影される。どこからがドゥルル、と場を盛り上げるための仰々しい音が鳴り出した。
「いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者が涙を飲むわ!さて運命の第一種目!今年は……コレ!」
ジャン!と流れを切るようにバツンと音が切れた。モニターに映し出されたのは「障害物競走」の文字。
「障害物競走……!」
「こんだけの人数でやればそりゃ盛り上がるだろうね」
ざわつく生徒たちの声を黙らせるように、ゴゴゴと地が揺れるような音が足元から伝わってくる。音を辿ると、フィールドに備え付けられた大きなゲートがゆっくりと開き出していた。なるほど、あれがスタート位置か。
「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4q!」
ミッドナイトが楽しそうな笑みを浮かべたまま、ゲートの方を見る。奏たちはその笑顔に促されるように、ゲート前へと歩き始めた。
「我が校は自由さが売り文句!ウフフフ……コースさえ守ればなにをしたって構わないわ!さあさあ位置につきまくりなさい……」
スタートゲートに取り付けられた三つのランプの一つが、赤く点灯する。どうやらあれがスタートのカウントをしているらしい。4kmって結構な距離だよな。まあフルマラソンしろとか言われなくてよかった。雄英ならやりかねないし。
「奏」
不意に名前を呼ばれると、隣に爆豪が並んでいた。周囲からは足音と、いくつもの忙しない心音が聴こえてくる。
爆豪はまっすぐ前を向いたまま、遠くを見据えるような目でゲートの向こうを見ていた。
「俺ぁ一位になる」
「いや、それはさっきも聞いたよ」
パッと、二つめのランプが視界の端で点灯した。爆豪は一度ランプを見上げて、そのまま遠くを見ていた目を、隣に並び立つ奏に向ける。
「この体育祭で、俺はてめえに勝つ」
「……!」
奏を映すその瞳が、夕日のように燃えていた。
一位になると言った時点で、この体育祭では誰にも負けないという意味だ。それなのに今さら、改めて、奏に向けられた宣戦布告。その意味が測りきれなくて、奏はわずかに目を見開く。なにも言えない奏に、爆豪は苛立った様子もなく、むしろ言いたいことを言って満足したのか再び前を向いた。奏も爆豪に倣って前を向く。
勝敗へのこだわりが、奏にはない。もっと言えば、誰かと競い合うということに心が傾かない。勝っても、負けても。ただ残るのは結果だけだ。
勝己に、みんなにある熱が、僕には。
ないものが自分にはあると自覚していて、けれどそれが悪いと決まっているわけでもない。出口のない迷路のようなもので、奏は考えるのをやめて前を見る。
こだわりがなくたって、手を抜くつもりはない。そこまでスポーツマンシップは欠けていない。
静かに息を吸う。満たした肺を、空にするように細く吐き出す。
最後のランプが点灯した。
「スタート!!」
31:挑戦者たちの行進
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