ネタ帳

2021 / 05 / 18
短編、宿屋の娘〜続編

未完ですが、2019年11月3日に書いた分のみ。完結は恐らくしません。

追記からどうぞ!

 初めて煉獄さんに会った時、既にここが鬼滅の世界だと気付いていた私は、本物と出会えたことに驚きすぎて体が固まってしまった。
 だって、あの煉獄さんよ??そりゃあ、推しに会えたりしないかって期待はしてたけど、まさか本当にやってくるとは思わないじゃん?しかも怪我をしてるとか、そんなん動揺するじゃん??ついつい夜の村を駆けて、お医者さまを呼んできちゃったよね!ご迷惑をおかけしてすみませんでした!
 推しのためならば労働は労働ではなくご褒美です。いくらでも働いちゃうぞ!のノリでその日一日は普段の倍は働いてしまった。
 父に生暖かい視線を向けられてしまったことについては謎でしかないけど、最近では私がよく働いているときにされることが多いので、きっと娘の成長を喜んでいるのだろう。
 口に出して褒めてくれても良いんだよ、お父さん!

「おはようございます、煉獄さま」
「む、おはよう!随分早いな!」
「仕事がございますので……。お食事はいかが致しましょうか?」
「鍛錬が終わった後に……。半刻後に頼む!」
「かしこまりました」

 ひゃー!朝から煉獄さんと話してしまった!これは今日の運勢は大吉。良いことしか起こらないに決まってるね!
 ていうか、煉獄さんはこんなに早い時間に起きて大丈夫?まだ日が登って半刻くらいよ?鬼殺隊ってことは夜型の生活を送っているはずだし、体を壊してしまうんじゃ……?これは栄養満点の朝餉を作らなければ!
 素振りを行う煉獄さんに汗ふき用の手拭いをサービスし、スタスタと厨へ進む。
 煉獄さんのために美味しいものを作るぞ!といつもより気合を入れると、ひょこりと顔を覗かせた父に呼ばれる。

「今日の朝食は杏寿郎くんと一緒に頂きなさい」
「なんて??」

 しかも父よ、いつの間に名前で呼ぶほど仲良くなったんだ?私も仲間に入れてくれ。切実に。





「うむ!今日の飯も美味いぞ!」
「ええっと、ありがとうございます……?」

 あ…ありのまま今起こっていることを話すぜ!父に突然、煉獄さんと朝食をとるようになどと冗談を言われたと思ったら、何処と無くいつもに増して機嫌の良い煉獄さんと本当に食事をとっていた。な、何を言っているか分からねーと思うが、おれも分からねー……!
 うまいうまい!と美味しそうに食べてくれる煉獄さんを間近で見ていて気持ちは良いのだけれど、いや、どうしてこうなった。父さんは一体何がしたいんだ……。

「君は食べないのか?」
「へ?あ、いえ!食べます食べます!」

 混乱する頭を必至に落ち着かせ、ご飯を飲み込む。そんな私を見て、煉獄さんはよし!と頷いた。
 そしてすっかり食べ終わると、突然ずいっと近寄って来る。私のすぐ目の前には煉獄さんの麗しきお顔があり、煉獄さんの瞳に私が写っていることが分かる程には近い。
 いやいやいやいやいや!距離感!煉獄さん距離感!気を付けて!?煉獄さんイケメンなのよ!?世の女の子がみんな惚れちゃうって分かって!!?

「君の時間を一日だけ貰いたい!」
「……ふぁ!?」
「父君から許しは得ている!さあ、行こう!」
「え、あ、ちょっと……!」

 グッと腕を引かれ、立ちあがらせられる。そのまま微笑まれてしまえば、私には断ることなど出来ない。推しのそんな笑顔を崩させる訳にはいかないでしょ……!喜んで付いていきますとも!!ただ、これだけはお願いします……!

「お、お洒落をしてくるので、ちょっとだけ待っていてください……!」

 煉獄さんの隣を歩くのに変な格好をするわけにはいかないでしょう!?顔は化粧で誤魔化して、後ろ姿だけはせめて隣に立っていても遜色ないようにしなくちゃ……!