2022 / 07 / 01
pkmn
前回のネタの続きを大分書いていたので、供養しておきます。
昨年の9月末が最後の執筆でしたので、続きは絶望的なので…!
――ポケモン救助隊とは。
ポケモンによる、ポケモンのための、ポケモンを救けるためのチームのことである。
◇
夢を見た。自分がポケモンになり、ともだちとなったあの子と世界を救う冒険をする夢。
多くのポケモンを救け、ともだちになり、辛くて苦しい思いもしたけれど、楽しくて幸せで。
やがて訪れた別れに納得はしていたけれど、それでも寂しくて、親友になれたあの子とさようならをするのが嫌で。
目が覚めた時。私は人間に戻っていた。
なんて、過去を振り返るような夢を雲の上で見ていた。
私は今、出身地方であるホウエンを離れ、短期留学としてシンオウ地方へと向かっている最中だ。
あのパートナーとの出会いと別れを経験してから四年。十歳だった私は旅に出る夢を一旦捨て、ポケモンを救けるための知恵をつけるためにポケモンスクールに通い続けた。
ポケモンの声はもう聞こえないけれど、経験からか何を言っているのかは大体理解出来る。
私が目指すのはポケモンレンジャー?ポケモンドクター?どれも違う。だってそれらはあくまで人間が被害を確認出来てから動くのだから。
私がなるのはポケモン救助隊。ポケモンたちのための救助隊。
喩えともだちであるあの子たちがいなくとも、私は救助活動を行うのだ。
嗚呼、でもどうしてともだちの夢を見れたのだろう。今まで一度だって、望んでも夢の中ですら再会することは叶わなかったのに。
◇
ポケモンスクールで好成績を残している私だが、十歳の誕生日当日。旅に出ると意気揚々としていた私が突然旅には出ないと言い出し、長時間机に向かったことに両親は酷く心配したらしい。正確にはしている、で現在進行形なのだが。
お転婆なアウトドア派から完全なるインドア派になった私に外の世界を見せたかった両親は、成績優秀者にのみ提案される他地方への留学制度をプッシュした。
私はあのポケモンたちしかいない世界で、救助隊をするにもお金や信頼が必要だと学んだからこそ、それらを得るために知識を付けただけなので、留学経験というのはきっとプラスに見られることが多いだろう、ならば断る理由はないとシンオウはコトブキシティへとやって来たのである。
期間は一年。提出物を出し続ければ、このままトレーナーズスクールを卒業出来る。勿論、通い続けることだって出来るが、これ以上は私には必要ないだろう。
コトブキシティは「ひとがつどう しあわせのまち」。最近発売されたポケッチの開発を行うポケッチカンパニーやテレビ局もあり、近代的でグローバルな街だ。
私にはまだポケッチに手を出せるようなお金は持ち合わせていないため、いつか入手してみたいと思っている。ホウエンで買ったポケナビがあるので、特に困ることはないのだが。
コトブキマンションの一室を借りた私は荷物を置き、まずはポケッチカンパニーでポケナビの更新を行う。
各地方毎で連絡ツールが違うのだが、それはその地方特有の地形等に合わせて開発されているからだ。
例えば私の出身であるホウエン。ホウエンは火山地帯や砂漠があり、電波を届けることが難しい。ホウエン、圏外多すぎ問題。そのため、確実に連絡を取るために手紙を使うことが多いので、電子機器の需要は低い。そんなこともあり、そもそもポケナビは旅立ったトレーナーにしか需要がないのだ。勿論連絡ツールのみの機器の方が安いのだが、マップ機能があるポケナビの方がトレーナーのニーズに合っている。ということで、ホウエンでポケナビはそれなりに売れているらしい。
ポケナビの更新でシンオウ地方のマップを表示出来るようにしてもらったのだが、実際のところ、これはホウエン地方でもやってもらえる。ただしこちらは有料。留学先の地方で更新を行うことによって、費用がスクール持ちになるのだから、そりゃあ留学先で行うに決まっている。
私はあの冒険の最中に出会ったともだち以外を手持ちにすることは憚られるため、自分のポケモンを持っていない。また自分がポケモンでいた期間があったからなのか、ペットとして飼うのも非常に違和感を覚えるようになってしまった。
しかし慣れ親しんだ街ならば兎も角、初めての土地で一人は危険だということで、ポケモンスクールで一匹お借りすることになっている。
ポケッチカンパニーを出てスクールへ向かい、学生証やら何やらを提示して校長と挨拶。その際に一つのモンスターボールを手渡される。
促されて真ん中のボタンをカチッと押すと、中から両手に乗せられる程の小さな黄緑色のポケモンが出てきた。
「んみぃ!」
「スボミーですね。初めて見ました!」
とてとて歩き、近寄ってきたスボミーの頬を人差し指の背で撫でる。「よろしくね」と声を掛けると、元気よく返事をしてくれた。
スボミーと生活するに当たっての注意事項を説明してもらい、ボールから出したまま二人で一緒に帰っていく。肩の上でみぃみぃ鳴いているスボミーはご機嫌だ。
図鑑を見て知ってはいたが、スボミーは初めて見るポケモンである。元々ホウエンにはロゼリアしか生息しておらず、進化前であるスボミーは何故か野生では見当たらない。恐らくはスボミーにとって生活しにくい環境だからなのだろう。おはなのおこうを持たせておくとスボミーの卵が生まれると発見した研究員には尊敬している。見付けたのもスゴいが、お香の効果もスゴい。
「み!みい!」
「どうしたの?」
人の家の前に置かれた鉢植えを自身の頭でコツコツ叩くスボミー。どうやら鉢植えが欲しいらしい。
そういえば、とポケナビのマップを早速開いて覚えのあった場所を調べてみる。
「あった。ソノオタウン……隣街だね」
「みー?」
「沢山のお花があって、フラワーショップがあるみたい。一年お世話になるからさ、せっかくだから良いものを買っちゃお!」
「みぃー!」
くるくる私の周りを回りながらぴょんぴょん跳ね、落ち着いてくると抱っこをせがまれる。
お願いを聞いてあげるとまたご機嫌に歌い出す。どうやらとても人懐っこい子のようだ。
◇
夢を見た。そこには何もなく、自分以外は存在しない。
けれど、誰かが私を呼んでいた。
私は何度かこの空間にやって来ている。嗚呼、この声はきっと――!
◇
留学開始から数週間。ソノウタウンで購入したお気に入りの植木鉢に入ったスボミーにお水をやり、ベランダで日光浴をさせる。
何だか不思議な夢を見た気がするのだが、あまり記憶には残っていない。けれどどこか懐かしく、踏ん張らなければ泣いてしまいそうだった。
これは良くない。別のことを考えよう。
そういえば、あのヨスガシティが出身だと言う男の子。原因不明の病でずっと眠ったままだった彼は目覚めてから静養のためにソノオタウンへ移住。今では隣町であるコトブキシティのポケモンスクールへ通うほど元気になったとか。
その子、やけにこっちを見てくるくせに話しかけようとすると離れていくんだよな。何もしていないはずなのに。
「みー!!」
ベランダから戻ってきたスボミーに「時間だよ!!」と声を掛けられ、急いでスクールへ向かう。走らなければ遅刻してしまいそうだ。
息を切らしながら教室へ駆け込む。壁掛け時計を見れば、予鈴三分前。セーフである。
スクールの制服の上にパーカーを羽織っている私はフードに入ったスボミーに「みみぃ!」とお疲れ様と鳴かれ、腕を伸ばしてツンツンとつついた。
「……おい」
声を掛けてきたのは例の男の子だった。
気まずそうに顔を背け、チラチラとこちらを見ている。そして伸ばされた腕の先には未開封のペットボトルが握られていた。
「やる」
「……ありがとう」
「別に。オマエのともだちに世話になったから」
「私の、友達?」
聞き返すがもう用はないとばかりにペットボトルを押し付け、自分の席へと戻っていく。
ポカンとしていると、シンオウ出身の女友達がこちらへ駆け寄り、ヒソヒソとやけに高いテンションで話しかけてくる。
「あたしずっと思ってたんだけど、やっぱりアイツ、#名前#のこと好きだって!」
「いや……それはないと思う」
「絶対にそうだよ〜!」
釣り上がった赤い瞳にどうにも既視感があった。
それにあの声。どこかで聞いたことがあるような。
あともう少しで思い出せそうというところで担任が教室へやって来たため、私も自分の席に着いた。
◇
「#名前#」
今日ははっきりとあの子の声が聞こえた。
「#名前#」
黄色い手のひらには救助隊バッジ。私たちが救助隊であった証だ。
緑のスカーフをした私のともだちは笑っていた。
「会いに行くよ」
昨年の9月末が最後の執筆でしたので、続きは絶望的なので…!
――ポケモン救助隊とは。
ポケモンによる、ポケモンのための、ポケモンを救けるためのチームのことである。
◇
夢を見た。自分がポケモンになり、ともだちとなったあの子と世界を救う冒険をする夢。
多くのポケモンを救け、ともだちになり、辛くて苦しい思いもしたけれど、楽しくて幸せで。
やがて訪れた別れに納得はしていたけれど、それでも寂しくて、親友になれたあの子とさようならをするのが嫌で。
目が覚めた時。私は人間に戻っていた。
なんて、過去を振り返るような夢を雲の上で見ていた。
私は今、出身地方であるホウエンを離れ、短期留学としてシンオウ地方へと向かっている最中だ。
あのパートナーとの出会いと別れを経験してから四年。十歳だった私は旅に出る夢を一旦捨て、ポケモンを救けるための知恵をつけるためにポケモンスクールに通い続けた。
ポケモンの声はもう聞こえないけれど、経験からか何を言っているのかは大体理解出来る。
私が目指すのはポケモンレンジャー?ポケモンドクター?どれも違う。だってそれらはあくまで人間が被害を確認出来てから動くのだから。
私がなるのはポケモン救助隊。ポケモンたちのための救助隊。
喩えともだちであるあの子たちがいなくとも、私は救助活動を行うのだ。
嗚呼、でもどうしてともだちの夢を見れたのだろう。今まで一度だって、望んでも夢の中ですら再会することは叶わなかったのに。
◇
ポケモンスクールで好成績を残している私だが、十歳の誕生日当日。旅に出ると意気揚々としていた私が突然旅には出ないと言い出し、長時間机に向かったことに両親は酷く心配したらしい。正確にはしている、で現在進行形なのだが。
お転婆なアウトドア派から完全なるインドア派になった私に外の世界を見せたかった両親は、成績優秀者にのみ提案される他地方への留学制度をプッシュした。
私はあのポケモンたちしかいない世界で、救助隊をするにもお金や信頼が必要だと学んだからこそ、それらを得るために知識を付けただけなので、留学経験というのはきっとプラスに見られることが多いだろう、ならば断る理由はないとシンオウはコトブキシティへとやって来たのである。
期間は一年。提出物を出し続ければ、このままトレーナーズスクールを卒業出来る。勿論、通い続けることだって出来るが、これ以上は私には必要ないだろう。
コトブキシティは「ひとがつどう しあわせのまち」。最近発売されたポケッチの開発を行うポケッチカンパニーやテレビ局もあり、近代的でグローバルな街だ。
私にはまだポケッチに手を出せるようなお金は持ち合わせていないため、いつか入手してみたいと思っている。ホウエンで買ったポケナビがあるので、特に困ることはないのだが。
コトブキマンションの一室を借りた私は荷物を置き、まずはポケッチカンパニーでポケナビの更新を行う。
各地方毎で連絡ツールが違うのだが、それはその地方特有の地形等に合わせて開発されているからだ。
例えば私の出身であるホウエン。ホウエンは火山地帯や砂漠があり、電波を届けることが難しい。ホウエン、圏外多すぎ問題。そのため、確実に連絡を取るために手紙を使うことが多いので、電子機器の需要は低い。そんなこともあり、そもそもポケナビは旅立ったトレーナーにしか需要がないのだ。勿論連絡ツールのみの機器の方が安いのだが、マップ機能があるポケナビの方がトレーナーのニーズに合っている。ということで、ホウエンでポケナビはそれなりに売れているらしい。
ポケナビの更新でシンオウ地方のマップを表示出来るようにしてもらったのだが、実際のところ、これはホウエン地方でもやってもらえる。ただしこちらは有料。留学先の地方で更新を行うことによって、費用がスクール持ちになるのだから、そりゃあ留学先で行うに決まっている。
私はあの冒険の最中に出会ったともだち以外を手持ちにすることは憚られるため、自分のポケモンを持っていない。また自分がポケモンでいた期間があったからなのか、ペットとして飼うのも非常に違和感を覚えるようになってしまった。
しかし慣れ親しんだ街ならば兎も角、初めての土地で一人は危険だということで、ポケモンスクールで一匹お借りすることになっている。
ポケッチカンパニーを出てスクールへ向かい、学生証やら何やらを提示して校長と挨拶。その際に一つのモンスターボールを手渡される。
促されて真ん中のボタンをカチッと押すと、中から両手に乗せられる程の小さな黄緑色のポケモンが出てきた。
「んみぃ!」
「スボミーですね。初めて見ました!」
とてとて歩き、近寄ってきたスボミーの頬を人差し指の背で撫でる。「よろしくね」と声を掛けると、元気よく返事をしてくれた。
スボミーと生活するに当たっての注意事項を説明してもらい、ボールから出したまま二人で一緒に帰っていく。肩の上でみぃみぃ鳴いているスボミーはご機嫌だ。
図鑑を見て知ってはいたが、スボミーは初めて見るポケモンである。元々ホウエンにはロゼリアしか生息しておらず、進化前であるスボミーは何故か野生では見当たらない。恐らくはスボミーにとって生活しにくい環境だからなのだろう。おはなのおこうを持たせておくとスボミーの卵が生まれると発見した研究員には尊敬している。見付けたのもスゴいが、お香の効果もスゴい。
「み!みい!」
「どうしたの?」
人の家の前に置かれた鉢植えを自身の頭でコツコツ叩くスボミー。どうやら鉢植えが欲しいらしい。
そういえば、とポケナビのマップを早速開いて覚えのあった場所を調べてみる。
「あった。ソノオタウン……隣街だね」
「みー?」
「沢山のお花があって、フラワーショップがあるみたい。一年お世話になるからさ、せっかくだから良いものを買っちゃお!」
「みぃー!」
くるくる私の周りを回りながらぴょんぴょん跳ね、落ち着いてくると抱っこをせがまれる。
お願いを聞いてあげるとまたご機嫌に歌い出す。どうやらとても人懐っこい子のようだ。
◇
夢を見た。そこには何もなく、自分以外は存在しない。
けれど、誰かが私を呼んでいた。
私は何度かこの空間にやって来ている。嗚呼、この声はきっと――!
◇
留学開始から数週間。ソノウタウンで購入したお気に入りの植木鉢に入ったスボミーにお水をやり、ベランダで日光浴をさせる。
何だか不思議な夢を見た気がするのだが、あまり記憶には残っていない。けれどどこか懐かしく、踏ん張らなければ泣いてしまいそうだった。
これは良くない。別のことを考えよう。
そういえば、あのヨスガシティが出身だと言う男の子。原因不明の病でずっと眠ったままだった彼は目覚めてから静養のためにソノオタウンへ移住。今では隣町であるコトブキシティのポケモンスクールへ通うほど元気になったとか。
その子、やけにこっちを見てくるくせに話しかけようとすると離れていくんだよな。何もしていないはずなのに。
「みー!!」
ベランダから戻ってきたスボミーに「時間だよ!!」と声を掛けられ、急いでスクールへ向かう。走らなければ遅刻してしまいそうだ。
息を切らしながら教室へ駆け込む。壁掛け時計を見れば、予鈴三分前。セーフである。
スクールの制服の上にパーカーを羽織っている私はフードに入ったスボミーに「みみぃ!」とお疲れ様と鳴かれ、腕を伸ばしてツンツンとつついた。
「……おい」
声を掛けてきたのは例の男の子だった。
気まずそうに顔を背け、チラチラとこちらを見ている。そして伸ばされた腕の先には未開封のペットボトルが握られていた。
「やる」
「……ありがとう」
「別に。オマエのともだちに世話になったから」
「私の、友達?」
聞き返すがもう用はないとばかりにペットボトルを押し付け、自分の席へと戻っていく。
ポカンとしていると、シンオウ出身の女友達がこちらへ駆け寄り、ヒソヒソとやけに高いテンションで話しかけてくる。
「あたしずっと思ってたんだけど、やっぱりアイツ、#名前#のこと好きだって!」
「いや……それはないと思う」
「絶対にそうだよ〜!」
釣り上がった赤い瞳にどうにも既視感があった。
それにあの声。どこかで聞いたことがあるような。
あともう少しで思い出せそうというところで担任が教室へやって来たため、私も自分の席に着いた。
◇
「#名前#」
今日ははっきりとあの子の声が聞こえた。
「#名前#」
黄色い手のひらには救助隊バッジ。私たちが救助隊であった証だ。
緑のスカーフをした私のともだちは笑っていた。
「会いに行くよ」