ネタ帳

2022 / 07 / 01
GS4

実況動画を見てハマり、未プレイで書いていたものです。
まさかの4ではなく3を某実況者さんの影響で購入し、ニーナ以外の男を考えられなくなってしまったため続きが書けなくなりました。







 私立羽ヶ崎学園。家が近く、はばたき学園より入試難易度が低いこともあり、特待生狙いで無事に入学した私は勉強を人より頑張っているだけの普通の女子高生である。運動はそれなりで、可もなく不可もなく。いや、どちらかと言えば不可寄りだろうか。

「おはよう、白羽くん。今日も遅刻ぎりぎりだね」
「おはよう。早く家を出てはいるんだけど、今日もちょっとしたハプニングに遭遇して……」
「うーん、安定した吸引力。困っている人ホイホイ」
「なあに、それ」

 くすくす笑うのは高校初の席替えで隣の席になった白羽空也くん。彼は困っている人によく出会うらしい。そして、そんな人を助けることが当たり前だと思っている人。
 なんだか危うくて、心配になってしまう。自分のことを後回しにしていそうでもあるし、そのうち悪い人に騙されそうなのだ。だからか、少しだけお節介を焼いてしまう。

「程々にしないと、白羽くんが損しちゃうよ?」
「損?」
「そろそろ学校に遅刻しそうじゃん」
「ふふ、そうならないように気を付けるね」
「はい、うそ〜!白羽くんの気を付けるは気を付けるだけ!絶対に遅刻する!」
「そうかな?」

 首を傾げているが、そうなのである。もしかして本当に自覚がない……?

「そんなことより」
「そんなことではないんだけどな……」
「そろそろ空也って呼ばない?白羽くんって呼ばれ慣れないから」
「ん〜?でも、白羽くんは白羽くんって感じだし。白羽くん呼びは嫌?」
「嫌ってわけじゃないけど」

 なら良いじゃん、と笑いかけると、白羽くん自身もそれもそうかと納得してくれる。
 ふわふわしていて、春のように暖かい人。けれどどこか冷めていて、感覚的には旧暦の春生まれというイメージなのだが、実際彼は三月生まれで、私ったら大正解。
 絶妙に波長が合うのか、白羽くんとの間に流れる沈黙はちっとも気不味くなくて、話している間も楽しい。この学校で一番仲良しな男の子は白羽くんで、体育祭の二人三脚は彼と参加している。因みに結果は圧勝でとても気分が良かった。フォークダンスでもたまたま相手を務めることになったときには驚いたものだ。

「ここの問題なんだけど、これで当ってる?」
「どこ?……うん、私もそこ引用したよ」

 国語の先生から出されていた課題。白羽くんは決して勉強が出来ないわけではないのだが、国語の成績があまりよろしくなかった。
 漢字や現代語訳の問題はミスが少ないのだが、現代文で人の気持ちを読み取るのが少しだけ苦手らしい。これかな?とは思うのだが、自分がその立場だったらそうは思わないため確信が持てないのだとか。
 何と言うか、闇が深い。

「頭が良いのはやっぱり、好きこそ物の上手なれ……なのかな?」
「いや、自分が楽するためだね」
「家が学校に近いからって言っていたやつ?」
「そう。でも家は一般家庭でそんなにお金があるわけじゃないし、じゃあどうするかってなったら特待生制度を狙うしかないじゃん?」
「ちょっと離れた公立を狙うのはダメだったの?」
「あそこは羽ヶ崎より偏差値高いから!絶対に羽ヶ崎に通った方が睡眠時間延ばせる」
「そこなの?」
「そこなんです」

 胸を張って言うと、頑張っているんだねと褒めてくれる白羽くんはお兄ちゃんが板に付いている。
 白羽くんは三人兄弟の真ん中で、弟くんのことを可愛がっている様子だ。来年には弟くんと一緒にまた通学出来たらな、と語っていたことがあった。
 お姉さんのことも大事にしていて、お仕事の手伝いをすることもあるらしい。居候の身がなんちゃらとかも言っていたが、男の子によくある照れ隠しというやつだろう。





 席替えを何度か行い、とっくの昔に白羽くんと席は離れてしまったのだが、今でも交流は続いている。
 休みの日にこそ一緒に出掛けたりはしないものの、連絡先は交換していたり、課題の確認や忘れ物の貸し借り(とは言っても同じクラスなので、文房具くらい)をしていたりと、中々親しくしている。
 クリスマスパーティーのプレゼント交換会では私が用意した物が白羽くんの手に渡るだなんて面白いことも起こった。中身は巫山戯てどくろクマのマスコットにしてあり、男子の元に届けば面白いと祈っていたのだが、まさかの白羽くん。白羽くんにどくろクマは似合ってしまうだけなんだよなぁ。出来れば陸上部とかの筋肉モリモリの人に渡っていたらと考えていたのだが、白羽くんはまるでアンバサダーの如く持っていても違和感がなかったので写真を撮らせてもらった。しかも冬休み終わりからスクールバッグに着けて来てくれていて、もっと大人っぽいデザインのものを選ぶべきだったかと反省している。だって白羽くん、「なにそれ〜?」って聞かれて私が選んだものだって正直に答えるから。何そのセンス……っていう視線が痛い。

「来年も同じクラスになれたらいいね」
「嬉しいこと言ってくれるね!その時はそのどくろクマ、外して登校して来てよ」
「え?」
「白羽くんじゃなくて、プレゼントにそれを選んだ私が揶揄われるからさ。そろそろヤダ」
「……なら、別のクラスでも良いかも」
「ちょっと!」

 肘で白羽くんを小突く。
 ちなみにクラス替えの結果は別クラスで、白羽くんはどくろクマを着け続けた。知らない子からの視線も痛い。





「うわあああん、くうやおにいちゃん、どこぉ」
「なんて聞き覚えのある名前」

 アクセサリー・ミミでブレスレットを買った帰り。実は三原色ファンの私は波止場までやって来ていた。というのも、十月頃に此処に彼のオブジェが常設されるという噂を耳にし、下見をしに来たのだ。
 運良くスーツを着た数名の人がこの場所で……等と打ち合わせをしている姿を確認し、これは期待出来るぞとご機嫌でいたのがついさっき。帰ろうと踵を返したところ、小さな男の子に服の袖を掴まれて助けを求められたのが今。
 時刻は夕方。海が橙色に色付き、普段とは別の輝きを放っている。

「えっと、空也お兄ちゃんって白羽空也のことかな?」
「わかんないぃ」
「そうだね!名字なんて分かんないよね!」

 ボロボロ泣く男の子の涙をハンカチで拭い、もうどっちでも良いから助けて!と今までメールでしか連絡の取ったことがない白羽くんに電話をかける。
 数コールの間に応答してくれた。

『もしもし?ごめんね、今ちょっと忙しくて。また後で、』
「ヘルプ!!」
『え?何かあったの?』
「空也お兄ちゃんって泣いてる男の子に捕まってるんだけど、知り合いだったりしない!?」
『……!ごめん、その子と電話を代わってもらってもいいかな?』

 言われた通りにスマホを男の子の耳元に持っていってあげると、男の子は安心したかのようにまた泣き始める。うん、うん、と相槌を打ち、何か約束事をしたらしい。

「くうやおにいちゃんが、おねえちゃんに代わってって」
「そうなの?分かった。……もしもし?」
『もしもし。その子、ボクが捜していた子なんだ。迎えに行きたいんだけど、今どこにいるのかな?』

 男の子と手を繋ぎながら波止場にいることを伝えると、此処から十分も掛からないところにいるとのことで、男の子の母親と波止場まで行くと言われる。
 人の指で遊び始めた男の子の頭をその手で撫で、二人で待つことにした。
 近くの自動販売機で自分用にペットボトルのお茶を買い、男の子の体を抱っこして飲みたいもののボタンを押させる。ゴトンっと音を立てて落ちた飲み物を男の子が取ってくれる。

「はい、どーぞ!」
「ありがとう」

 自販機横のベンチに座り、男の子が選んだオレンジジュースの缶の蓋を開けてあげると、泣いて喉が乾いていたのか沢山飲んでいる。
 電話中に飲み物をあげたいと伝え、アレルギーの確認はしているのでオレンジジュースを飲んでも問題はない。
 私も私でペットボトルの蓋を開け、水分補給をする。
 男の子は二人が迎えに来てくれることを知ってからは元気いっぱいで、白羽くんの話を沢山してくれる。うんうんと相槌を打っていると、少し遠くに白羽くんの姿を発見する。
 立ち上がって彼を呼び手を振ると、走ってこちらまでやって来た。