ネタ帳

2023 / 03 / 24
『ああ、憧れの』ネタ

ピカチュウ視点です。





 ある日、ピカチュウは仲間たちに尋ねられた。『モンスターボールに入らずにいるのは理由があるのか』と。
 気安い仲になったからこそギャラドスは尋ねてきたのだが、あまりにデリカシーがないとオオスバメに啄かれていた。まあ、いつものことだ。
 大方、何か悲しくて暗い過去があるかもしれないと考えたのだろう。

『まァ、かわいいボクをアピールしないのは勿体ないだろ?』

 バチーン♡とウインクをすると、仲間たちにドン引きされる。はあ?これでも人間にはかわいいー!ポケモンにはカッコイイー!って大人気なんだけど。じゃなきゃこんなことやらない。
 ボクの出身はドロップ島と呼ばれるところで、数年前に人間の手に寄って消滅した。人間を嫌いになりきれなかったのはドロップ島のポケモンを助けてくれたのも人間だったからだろうか。
 当時ピチューだったボクと両親のライチュウたちはブリーダーに引き取られて別の地方で暮らすことになり、そこであの子の両親に会った。
 ボクには兄がいるんだけど、兄のピチューはウクレレを奏でるのが上手で、ポケモンレンジャーと運命の出会いを果たしたとかで今はレンジャーのポケモンとして頑張っている。だから、兄とはもうずっと会っていない。
 あの子の両親の話に戻そう。正直、ボクにはボクの両親がいて、彼らと離れるくらいなら誰かのポケモンにはなりたくなかった。
 でもその考えも、彼女に会って変わったんだ。

「か、かわい〜……!」

 キラキラの瞳。パチパチと瞳の中で電気が走っているみたいで、この子もでんきタイプなのかなって思ったことを覚えている。
 あまりに感激した顔をするものだから、リップサービスで頭を撫でさせてあげた。ぎこちないその触り方は両親とは全く違うはずなのに暖かさは同じで、この子となら一緒にいてもいいかも、なんて。
 実際、ボクの目に狂いはなかった。彼女はボクと仲良くなって直ぐにまずはボクの両親に挨拶をした。

「息子さんを私にください!一緒に幸せになります!」

 まるでプロポーズみたいでママがきゃっ!と黄色い悲鳴を上げた。
 それからは本当にずっと一緒だ。ボクの親友、相棒、家族。
 あまりに真っ直ぐボクたちを見つめてくるものだから、彼女がポケモンにモテモテでたまに困ってしまうけれど、まあ、相棒として守ってあげるよ。でもなんで、オスよりメスに人気があるんだろうね?
 で、なんだっけ?ボクがボールに入らない理由?
 あの子が喜んでくれるから。憧れのトレーナーのピカチュウがボールに入らず、ずっとトレーナーの隣にいたんだって。そのピカチュウは相棒といつも一緒にいたいんだそうだ。
 ボクも同じだ。ボクもいつも一緒にいたい。大好きな相棒だから。
 ギャラドスもオオスバメもトゲピーもみんな好きになっちゃったなぁ。大好きが増えちゃった。みんなとずっと、いつも一緒にいたい。
 ところでボク、彼女の言うポケモンが主役も良いとは思うんだけど、相棒が主役も有りだと思うんだよね。
 みんなもそう思わない?
 ゴリ押ししたら、人間が主役のパフォーマンスをしてくれるかな。