ネタ帳

2020 / 03 / 17
dcst没ネタ

色々考えてはいたものの、この流れだと何故司くんが夢主を起こしてくれたのかが謎なので完全に没。

千空くんのお姉ちゃん設定。身内設定大好きです。

いつか書きたいdcst夢。これを元に書いたりもするかもしれませんが、ここに供養しておきます。
中途半端です。
夢主のデフォルトネーム、「日向」が出てきます。




 血の繋がった弟と血の繋がらない父。どちらも大切で愛しい私の家族。けれど、別れとは突然やって来るものなのだ。

「初めまして」

 長い眠りから覚めたような気分だ。いや、気分ではなく実際に眠っていたのだろうが。
 着ていたはずの制服や下着は劣化したのか無くなっており、今の私は目の前の男が掛けてくれたであろう上着のような物を纏っているだけ。うん、出来れば女の子を呼んでほしかったな。
 ぼーっとした頭を回転させる。気を抜くな。状況は何となく理解しているはずだ。人類が石化してから十年は数えていたのだから。
 周りを見るにきっともっと年数が経っている。そしてこの目の前に立つ男。メディアで見た事のある、確か同い年で霊長類最強と世の中に言わしめた男。獅子王司は化学に精通していた訳では無い。だと言うのに、自分が私を目覚めさせたかのような態度をしている。
 人類の石化を解く薬を彼が作った?メディアで見た彼の知識しかないが、それはとても低い可能性であろう。
 いや待て、まず根本的に石化から何年が経ったんだ?初めに石化が解けた人類は?初めでなくとも、石化を解く薬を作った、もしくは見つけたのは誰?
 ああ、考えることが多すぎる。
 彼の着る服から想定するに、きっと人類は歴史を作り直さなければならない事態に陥っている。今は縄文時代や弥生時代辺りの技術があるのだろうか。稲作をしているかどうか、武器のレベルはどの程度かで変わるな。
 とりあえず、火薬が存在しないのはほぼ確定。となれば、彼のような屈強な男を敵に回すべきではない。

「……ごめんなさい、ぼーっとしてた。えっと、獅子王司くんで合ってる?貴方が起こしてくれたの?」
「その通りだよ」
「そっか。それじゃあ、まずはお礼を。私は……日向。司くんとは同い年」

 名字を名乗ろうとして止める。本能的に名乗らない方が身のためだと察知したからだ。名乗ってしまえば後々大変な目に合う。私の良い予感は当たった試しがないが、悪い予感は九割当たる。

「服を用意しよう。裁縫はとある女性が行ってくれているから、彼女の元へ向かって早めに採寸してもらおう」

 立てるかい?と手を差し伸べられ、その手を掴んで立ち上がる。
 道すがら、彼は多くの情報を教えてくれた。
 曰く、今は西暦5738年――それは一体誰が数えていたんだ。
 他の情報は正直どうでも良い。見ればある程度理解出来る情報だ。けれど、これだけは解せない。
 石化しない人類が存在した?石化から逃げ切れた可能性があるのは、あの瞬間に宇宙にいた人間だけだと思っている。石化中にすぐに並列で考えていたさ。仮にそうすると、二人を除いて宇宙飛行士は化学のエリートだった。子孫に受け継いでいけば有り得るのだろう。
 石化から目覚めた人類が石化中にも時を数えていた?これが一番有り得そうで恐い。何せ私は、そういうことが出来てしまう人物を知っている。ずっと共に暮らしていた弟であれば、時を数え続けることも人類を石化から解く薬だって作れてしまうことだろう。化学に関する知識量が人の数十倍は優にあるのだから。
 弟なら。自分が作った薬だ。本当に石化から解けたかを確認するため、自分で人を助ける。けれどこの場に弟の姿は無い。
 脳内で鳴り響く警鐘。死んでしまったとまでは言わないが、どうもこの獅子王司を信じることは難しそうだ。
 辿り着いたのは彼を中心とした、所謂帝国国家となった場所。とは言え、多くの人が想像するような国ではないが。人が多くなければ、技術だって進んでいない。岩山に穴を作って、そこを宿としている。
 新しい仲間かとジロジロ見てくる人達。格好が格好なので、下心丸出しの男もいる。今は敵に回したくはないので、にこりと微笑んでおいた。少し困り気味で。
 見たところ、どうやら若い人間ばかりを目覚めさせているようだ。十代後半〜二十代後半くらいの見た目か?違和感を覚える。
 服が作り終わってから、また改めて話をしよう。そう言って立ち去る獅子王司。案内された場所には弟の友達である杠ちゃんがいた。
 特に獅子王司に彼女について紹介されるようなことはなかったので、目を見開いた杠ちゃんに少し怪しんだだけであろう。まあ、突然来たから驚いたということにすれば、納得出来なくはないかな。
 彼の姿が見えなくなったことを確認し、杠ちゃんの名前を呼ぶ。すると、ジワジワと涙を浮かべ、ぎゅっと抱きついてきた。
 不安だったのかな。そうだよね、普通は目が覚めたら突然こんなことになってしまったらパニックに陥る。それを彼女はグッと堪えていたのだろう。
 こんな格好で申し訳ないが、布の隙間から片腕を出して、杠ちゃんの背中をポンポンと優しく叩く。

「落ち着いたらで大丈夫だから、私のお洋服を作ってほしいなぁ。それから、この世界について知っていることも教えてほしい」

 宥めていたら、杠ちゃんに会いに来た大樹くんと再会出来たのはもう少し後のお話。





 今の格好のままではいけないということで、杠ちゃんの服を借りて着させてもらった。石化前から杠ちゃんには記念日に私用の服や小物をプレゼントしてもらっているので、採寸はざざっとで問題ないらしい。それ、私のスリーサイズを大体覚えられてるってことじゃん……恥ずかしいな……!
 邪魔にならないように隅で膝を抱えて座りながら、杠ちゃんから教えてもらった情報を整理し直す。
 弟が、千空が獅子王司に殺されかけた。お墓も作ってあるけど、本当は生きてる。
 どうしよう、これだけで獅子王司への殺意と千空が生きていたことへの安心感でぐちゃぐちゃだ。