※お互いに恋愛感情は一切無し。後半上鳴が出しゃばる。
「尾白くんよ、準備はよろしいかね?」
「うん、バッチリだよ」
お昼休み。態々上鳴くんの席を借り、尾白くんの机と向き合わせくっ付けた。向き合いながら、私の言葉にこくりと頷いた尾白くんを確認して、私は勢いよく立ち上がる。
「それではこれより第なんちゃら回、お菓子パーティーを始めます!」
「テンションが上がってるのは分かったから、座ろうね。みんなびっくりしてるよ」
「おっと、これは失礼」
すっと静かに席に座る。注意することも勿論だけど、ちゃんとその前に拍手をしてくれるところが流石である。教室に残っているクラスメイトたちは「またミョウジが阿呆なことやってる…」程度にしか思っていないのか、談笑をしていた。
従兄妹である私と尾白くんは小さい頃から月に一度は必ず、お菓子パーティーを行っていた。開催回数が多すぎてもはや何回目かも分からないパーティー。今月の開催日は今日にしようと先日二人で話し合い、その日の夜からずっと待ちわびていたのだ。それはもう、夜は眠れなくなるほどに。ガキみたいとか言ったら、私の個性であるサイコキネシスで物理的ボコボコにしてやる。机を投げてやるからな!
さて、お菓子パーティーとはなんぞや?とお思いの方もいらっしゃることだろう。え、名前で分かるって?それもそうか。なら説明は割愛。
尾白くんとのお菓子パーティーはお互いが好きなお菓子や食べたい物を持ち込み、ぐだぐだと会話をする。ただそれだけのことなのに妙に楽しくて、私は大好きなのだ。だからいつもよりテンションは高め。馬鹿さ加減に拍車が掛かっている。
机に広がられた色とりどりのパッケージをしたお菓子たち。どれもこれも美味しそうだ。おっと、涎が。
どれからいくか尋ねると、尾白くんは私が買ってきた物を不審そうな目で見ながら取った。
「これなに…?」
「え、書いてあるじゃん。 期間限定きのこ味のチョコ」
「よくこんなの見付けたね!?」
「近くのコンビニで売ってた」
好奇心で買ってきたものの、正直食べたくない。尾白くんも嫌そうにしているので、あとで爆豪くんの鞄にでも入れておこうと思う。バレないっしょ!
じゃあこれは…?と尾白くんが次に手に取った物も私が選んできたやつだ。
「ハンバーグ味のチョコ」
「…うん、こっちは?」
「ミネストローネ味のチョコ」
「海外にでも行ってきたの?」
「いや、近くのコンビニで」
「それ本当に!?」
本当だよ、私も驚いた。あそこのコンビニの品揃えは可笑しいんだよ。店員さんがおじさんおばさんしかいなくて、多分あの人たちの頭がおかしい。でも売れ残ったお菓子を安い値段で売ってくれるから好きだよ!不味いのばかりだけど!なんであんな経営で潰れないのだろうか。もう十年は通い続けてるぞ。
まあまあ、とにかく食べてみましょうよ。ということで一口食べてみるものの、くっそ不味かった。何度でも言う。くっそ不味い。なんでチョコにしたのかが意味わからない。峰田くん辺りに後であげちゃおう。私からでは受け取らなくても、百ちゃんから手渡してもらうっていう手もあるからね!
お口直しに尾白くんが持ってきてくれたグミを勝手に食べる。沢山の味が入った物で、たまたま私が食べたのはぶどう味だった。元々美味しいけど、さっきの変なチョコを食べた後だと余計に美味しく感じる。めちゃくちゃ美味い。
「俺にもちょうだい」
とても苦々しい顔で私の服の袖を引っ張りながら言う尾白くん。どうやらチョコは不味いどころではなく、苦手な味だったようだ。すまん。好奇心で買ってきてしまった。私はあのコンビニの売上に貢献してるよ。
グミを一個取り出してみると、それはイチゴ味だった。尾白くんにイチゴ味…かわいいな。
「はい、あーん」
「あー…」
「美味しい?」
「めちゃくちゃ美味しい」
「だろ?」
「これ俺が買ってきたやつなんだけどね…」
細かいことは気にするなって!笑いながらまたグミを食べる。お、またぶどう味だ。
尾白くんはポテトチップスの袋をパーティー開けをして、黙々と食べ始めた。口の中にチョコの味が残ってるよね、分かる分かる。またグミを口に含むと、これまたぶどう味だった。なんだよ、ぶどう味の呪いかよ。こわっ。
ちょいちょいと手招きをすると、尻尾をこちらへ伸ばしてきてくれた。グミの袋を机に起き、尻尾を抱きしめる。あーもふもふ。癒される。尾白くんは気にせずにポテチを食べる。スルースキル高い。私の扱いに慣れすぎ。
「尾白くんや」
「なにかな、ミョウジ」
「私しっかり尻尾を抱きしめてるから、ちょっと振り回してくれない?」
「ごめん、何言ってるか分からない」
「アトラクションみたいで楽しいと思うの!」
こいつ馬鹿だ…みたいな生暖かい視線を送られてしまい、私は心に10のダメージ。ナマエは倒れた。私弱い。
尻尾にしがみついてブンブン振り回してもらったら、絶叫アトラクションみたいで楽しいと思わない?え、思わないのか…。そうか……。
そんなふうにほのぼのと会話していると、まるで我慢がならないとでも言いたげに上鳴がこちらへビュンっとやって来た。
「いやいやいやいやいや!! おかしくね!? 従姉妹だからって距離感近すぎない!?」
「うわっ!どうしたの?」
「どうしたもこうしたもないって! 思春期の男女! 高校生! それなのになにあーんとか普通にやってんの!? 羨ましい!」
「上鳴、本音が出てるよ…」
尾白くんが口元を引き攣らせた。今の上鳴のテンションには付いていけないらしい。ていうかそうか、なるほど。上鳴もあーんして欲しかったのか。なら、とチョコのパッケージを開けて一粒手に取る。
「じゃあはい、上鳴もあーん」
「…は、ウソ、まじで!? あー…ってまっず!!」
「きのこ味のチョコです」
「くっそ、騙された!」
別に騙したつもりはないのに。なんとなく尾白くんとハイタッチを交わした。なんか上鳴可哀想だから、帰りに三人でカフェにでも行って奢ってあげようと思う。たまたまお小遣いもらったばかりだしね。楽しみがまた一つ増えたことににやけてしまうのであった。
お世話になっている友人へ捧いだ短編
尾白くんにグミをあーんってしたい…という一言を聞いて書きました。
自分で言うのも何ですが、よく分からないお話です。友人は喜んでくれたようなので良しとしてください。
それにしてもタイトル詐欺ですね。
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