閑話(41.5)
と在る昼下がり。
真選組局長である近藤勲から収集がかかり客間に集められたのは、副長の土方十四郎と一番隊隊長の沖田総悟であった。
二人が客間の扉を開ければ近藤は既に来ており、もう一人の我が物顔で座っている男が軽く片手を挙げた。
「よ〜ぉ、この間はご苦労だったなァ。」
「とっつぁん。」
取り敢えず座れと言われ、少し離れた場所にあぐらをかく。落ち着いたところで近藤さんが話を切り出した。
「で、とっつぁん今日はどうしたんだ。」
「いやなぁ。見合いの件、互いに見送りっつーことで落ち着いたらしいじゃねぇの。」
残念だったなァと眉間に皺を寄せて呟きながら、松平は煙草の煙を吐いた。
「つーことで、今晩はオジサンがお前ェらを労ってやるから。スマイル集合な。」
「やったぁ、良いとこあるじゃねぇですかィとっつぁん。」
「え!スマイル!?とっつぁん俺も!俺も行きたい!!」
「近藤ォ、テメェはダメだ。」
パァンッパァンッ!!
「ギャァァァ!!」
「はぁ…。とっつぁん、俺は行かねえよ。」
松平は銃を戸惑いなく近藤に向かって撃った後、土方の言葉を聞いて銃を額に突き付けた。
「トシィお前ぇは来い。」
「…まだ書類残ってんだよ。それに真選組のトップが揃って抜けれる訳がねぇだろ。」
「見合いの時は抜けただろォ。」
「アレはアンタが無理矢理取り付けたんだろォが!!」
「いいから来いっつってんだ。たまにはテメェを連れてこいってアネちゃんに言われちまったんだよォ!!」
「知るかァァ!!」
懇意にしているキャバ嬢の事を思い浮かべながら、松平は悔しそうに煙草を灰皿に押し付けた。土方は顔だけは良いので、キャバ嬢からの人気が高いのだ。
「つー訳だから、今晩はスマイル集合だかんなァ。」
反論は受け付けないと早々に帰っていった松平に、土方はため息を吐いた。
「はぁ…」
「いいじゃねぇですかィ。タダ酒ですぜィ。」
「とっつぁんの事だ。なんかある。」
「考え過ぎですぜィ土方さん。」
「前例がありすぎんだよ。」
「まぁ、グダグダ言ったってどうせ無駄でさァ。」
「はぁ…」
沖田の言うように、何を言っても松平は聞かないだろう。ため息を吐きながら、土方は煙草を灰皿に押し付けた。