土方さんの場合


「よう、久しぶりだな。」
「…こんにちは。」

コンビニに飲み物を買いに行った時に、煙草を買いにきたらしい土方さんに遭遇。そういえば偶に定食屋行っても会わなかったな、と今になって思い出す。

「ったく、会えなかったからってそんなに拗ねなくてもいいだろ?」

え?拗ね…え?

「それに、ホワイトデー忘れてた訳じゃねーよ。」

ん?…ああ。ホワイトデーか、すっかり忘れてたよ。…過ぎてるし。え?もう過ぎてるよ?

「漸く休みが取れそうでな。今晩行くか。」

…どこに?



────

訳も分からず連れてこられたのはターミナルの近くにそびえ立つ高級ホテル、にあるレストラン。すっかり日が暮れ、窓の外には街の灯りがキラキラと広がる。
そして、土方さんの目の前には台無しの料理。…うん、私の所にあるのは美味しそー。
前菜、スープ、パンと進み、メインを食べていた時だ。土方さんがワインを一口呑んで言った。

「この後どうする?」
「…この後?」

デザート食べたいなー、みたいな?あ、呑み足りないからハシゴ?

「明日の事は心配ねぇ。…部屋とるか?」

違った!もっとアダルトな内容だった!
どうするんだ?と目線で聞いてくる土方さん。え?どうするって…いや、そりゃイイ大人なんだから意味は分かる。え、けど別に付き合ってる訳じゃないし。
油の塊を食べる土方さんを見る。この人味覚可笑しいし、言動も可笑しいけど格好いいんだよな……イヤイヤ、私はそんな軽い女じゃないぞ。

「帰ります。」
「フ、お前も手強いというか何というか。」

なにそのプレイボーイ発言。え、普通だよね?私普通だよね!?

「まあいい。今日は勘弁してやる。」

今日は?今日はって何?

微妙な顔をしていると、ワインを呑む土方さんがフッと笑った。



戻る/top