※短編『すれ違い』続編。



なんだかんだで付き合い始めた仁王くんと私。流された感ハンパないけれど、まぁこんな始まりも有りなのかなと最近思い始めた。

「プリッ」

ただ、なんだか可愛いのかもしれないと思うときもあるけれど、根本的に意志疎通が出来ていない気がして仕方がない。仁王くんが謎の言葉を吐くと湧き起こる嬌声。え、なに!?なんで盛り上がったの!?仁王くんなんて言った!?

「ユキ。」
「あ、うん?」
「見とってくれた?今の試合。」

女の子の声に気を取られたけれど見てた。うん、危ない。

「うん見てたよ。仁王くん格好良かった。」
「なっっ!!」

急に動きを止める仁王くん。なんだろう、何か不味いことでも言ったかな?
もしや心の声が漏れていたのでは?と首を傾げているとガバッと効果音がつきそうなくらい勢い良く、仁王くんが抱きついてきた。それと同時に響く女の子の悲鳴。な、何事!?

「可愛いすぎじゃ…!!」

へ?な、なんて言いましたかね今。前半の声が聞こえなくて「杉じゃ…!」って聞こえた。杉?花粉…?もしかして花粉がブワーッと襲ってきたんだろうか。…それはコワいな!!
折角守って貰っているので、顔を仁王くんの胸元に押し付け、倒れないように服の腰のあたりを掴んだ。

「っっ!!」

仁王くんは一瞬動きを止めたかと思うと同時に力一杯抱き付いてきた。く、苦しいぞ!息するのそんなに危険なの?

「おい仁王!いちゃついてないでさっさと来いよ!」
「ちょっ、ブンちゃん!俺早退する!」
「はあ?何言ってんだ。」
「だ、だって!だって…!」
「あーはいはい。お前が悶えてんのは分かったぜぃ。けどまぁ…」
「無理に決まってるだろ。さっさと練習再開するよ。」

ぷはっ!仁王くんが離れたかと思うと、眩しい笑顔の幸村くんが仁王くんの耳を引っ張って引き摺っていた。この数秒の間に何があったんだろう。

「いだだだっ!ピ、ピヨ〜〜っ!!ユキ、ユキーー!!」
「え?あ、うん。頑張ってね。」

名前を呼ばれたので応援が欲しいのだろうと思い、声をかけてから手を降った。すると動きを止めた仁王くんは笑顔で手を振り返してくれた。
その瞬間女の子達から再び悲鳴が上がり、何事かと周りに視線を巡らすのであった。





お待たせしました!相変わらずすれ違っている二人。取り敢えず仁王は溺愛。ギャグ甘になってるかな…。リクエストありがとうございました。