誕生日メールを送りたい



時刻は23:48。

「あー…」

深夜の真選組屯所。そのとある部屋の一室で、一番隊隊長こと沖田総悟は布団の上で一人唸っていた。

「うーあーあー…」

携帯を片手に画面と睨めっこをする事数時間。さらに言えば此処数日、彼の思考はある事で一杯だった。

明日は甘味処で働くユキの誕生日だ。

「あと12分…」

携帯画面の右上に書かれた時刻を見て再びメール画面を見つめる。

「字間違ってねぇよな…?つーか文章はこれで大丈夫ですかねィ。」

あけおめメールの時より少しばかり華やかに施したお誕生日メール。文字の最後に飾られた頬を染めたクマのキャラクターが何度も何度も頭をぺこりと下げる。

「あー!あと10分!?ちょ、やべ緊張してきた。…つーかそもそも12時になって直ぐのメールってどうなんですかねィ…?」

あまりに深く考えすぎていた昨日、局長の近藤に心配されたので相談してみた沖田。
『なにぃ?大切な人の誕生日?そーかそーか!総悟も遂に俺のお妙さんのような素晴らしい女性に出会ったか!!そーだなぁ、俺なら当日と言わず前日からお妙さんの家の屋根裏に張り込んで…』
あまり参考にならない。普段からストーカーや不法侵入をしている人物に聞いたのが間違いだった。

「か、彼氏ならともかくまだそんな関係じゃねぇし…いや俺はユキさんからのメールなら何時でも嬉しいですけどねィ。けどユキさんは迷惑かもしれねえ…しかもなんかガツガツしてるみたいに思われたら…ってあぁぁぁぁああ!!!もう3分前!?」

もう一度画面の文章を読み始めた沖田。漢字間違いは無いか、文章は可笑しくないかを今一度確認する。
不器用に入れた絵文字は派手すぎないだろうか。文章は長過ぎだろうか。
様々な不安が頭を過ぎりながらも、大きく深呼吸をして携帯を持つ手を振り上げた。

「送ー信!」

ピローン

「…………ぅぁぁぁあああ!おっ、送っ、送っちまっ…!!」

スパーーーンッッ!!

「さっきからうるせぇんだけどォォォォオ!!」
「うるさいのは土方さんでさァ。」