誕生日ソングを歌いたい


江戸のとある宿屋。其処の一室には多くの攘夷志士が集まっていた。彼等は桂一派の攘夷集団で、今現在深刻な表情をしながらんまい棒を片手に、人気ドラマについて論議していた。

「ハァァァピバァァアスディトゥゥゥユゥゥゥウ!!」

そしてその大部屋の隣。其処には彼等のリーダー的存在である桂小太郎が、拳を振り上げて熱唱していた。

「ハァァァピバァァアスディトゥゥゥユゥゥゥウ!!」
『…』

白い身体に黄色い嘴、まん丸な瞳を持ったエリザベスは、部屋に入ってから静かに襖を閉めた。

「ハァァァピバァァアスディディィアユキ殿ォォォォォォ…」
『…』
「ハァァァピバァァアスディトゥゥゥユゥゥゥゥゥ!!!」

全力で歌いきった桂は、どこか自慢気な表情をしてフゥと溜め息を吐いた。

「どうだろうかエリザベス。もう少し”ハァァァ”の所を強調したほうが良いのだろうか。」
『最近部屋に籠もって何をしているのかと思ったら、誕生日ソングの練習でしたか。』

先程桂が歌っていた歌を思い出して、エリザベスはなる程と思いながらプラカードを出す。

「うむ。実は明日はユキ殿の誕生日なのだ。」
『そうでしたか。』
「ではもう一度練習しておくとしよう。…ハァァァピバァァアスディトゥゥゥユゥゥゥウ!!」

再び歌い始めた桂を見ながら、エリザベスはアドバイスをすべくプラカードに文字を書き始めた。