マルコ



※マルコ夢なのにマルコ不在。サッチ視点。




もうすぐバレンタインだ。毎年この時期になるとナース達がオヤジにチョコを作る。隊長格の奴らはおこぼれを貰ったりする奴もいるのだが。

「え?」
「だからさ、ユキはキッチン使わなくていいのか?」

キャッキャと可愛らしく騒ぐナース達と違って普段と変わらないテンションのユキ。そもそもユキはマルコの女として船に乗ったのだから、ユキもマルコにチョコをやるはずだ。だからこそ、なんの準備もしてなさそうなユキを見て心配半分興味半分で尋ねたのだ。

「…なんの話ですか?」
「バレンタインだよバレンタイン!もうすぐじゃねぇか。」
「バレンタイン…」

なんだろうこの嫌な予感は。ふむ、と考え込むようにするユキ。まさかやるつもりがないとかバカなことをぬかすんじゃねぇだろうな。普段一人で居る時のユキに声を掛けるだけでも遠くからマルコがじーっと見てくるのに、そんな事になったらユキはもう部屋から出てこれねぇかもしれねぇぞ。いや冗談抜きで。

「そもそも此処のバレンタインてどういう風習なんですか?」
「ええ!?おま、バレンタイン知らねぇのかよ。」

そこから!?
まぁ、グランドラインも広いしまだまだ知らない土地も多い。当然共通とされている行事を知らない地域だってあるのだろう。
ユキから言わせれば、日本では女から男にチョコを渡す日、イギリスでは男から女に花束とかを贈る日だったというだけの事である。

「言葉自体は知ってますよ。だけど、住んでいた処では色々な風習があったので。」
「色々な?ふーん、まぁいいか。バレンタインは、女が男にチョコを渡す日だ!」
「あ、そっちなんですか。英語表記なのに。」
「?」

そっちってどっちだ?首を傾げる。だけど言う気が無いようなので、モビーのバレンタイン模様を話してやる事にする。

「ナース達はオヤジに手作りするからって毎年キッチン使うんだよ。」
「あー、そういえばそんな事言ってました。一緒にどうかって。」
「だろ?なに作るんだ?」

俺が知ってるレシピならナース達に教える、もとい仲良くなれるかもしれない。ナース達の動向も教えてくれと目を輝かせると、ユキは不思議そうに首を傾げた。

「え、作りませんけど。」
「は?」
「え?」
「な、なんで!?」

予想外なんだけど!ナースどうこう言ってる場合じゃ無いぞこれは!!

「住んでいた処では色々な風習があるって言いましたよね。」
「あぁ。」
「中でも私が居た処では、男から女に花束とかを贈るのが普通だったんですよ。」

ユキが日本に居たのなんかはるか昔だし、甘酸っぱい思い出なんて小学生くらいだ。大人になってからは買った方が美味しいと思っていたし、ブランドで選んでいたところもあるから。ホグワーツに居た頃なんかは名前も知らない奴らから花束とかだったけど。
兎に角彼女に、バレンタインに女から何かをするという感覚が無いのだ。だからこその言葉だったのだが、サッチは逆に目を輝かせ始めた。

「男から?」
「はい。だから…」
「じゃあ今年がユキにとっての初めてのバレンタインってわけだ!」
「は?いや違…」
「マルコってお前に対しては凄ぇ嫉妬深いだろ?マルコ知ったら喜ぶ…つーか変に嫉妬されずに済むぞ!」
「あー…」

前にマルコが邪険に扱ったクルーの事でも思い出したのだろうか。マルコはユキが誰かと二人きりになるのを良しとしない。仲良く笑い合おうものなら凄ぇ目つきになる。
ユキが乗船したばかりの頃のマルコは、ユキを片手に担いで行動してたくらいだから、ましにはなっているわけだが。

「それじゃあ……………お姉さん達に言ってきます。」
「おう、そーしろ!」

渋々、といった感じで頭を掻きながらナース達の元へ行くユキを見送る。すると途中から様子を窺っていた隊長格の奴らが姿を現した。

「…ユキ作るって?」
「あぁ。」
「そっかー良かったな!」
「くくっ、これでマルコが荒れずに済むねぇ。」
「ははっ、全くだ。」

互いに自覚が足りなさすぎるのだ。

今までオヤジと家族以外に執着なんかしなかったマルコ。それがどれだけの事なのか本人は全く気付いていない。
家族が誰と話していても(悪気のある奴とか海賊狩りとか以外)気にしないくせに。オヤジがナース達といちゃついていたって、マルコ以外の隊長を頼ったって気にしないくせに。

また、そんなマルコに執着されているユキも、その重大性に気が付いていない。
始まりは牢の中だったらしいが、二度目のはじめましてはただ通り過ぎるだけの、関係なんか持つ筈もない通行人の一般人と海賊だったのだ。まぁ、それでもマルコは一目見て捕まえてたけど。
俺たちは海賊だが人攫いはしねぇ。善人という訳ではないが、根っからの悪でもない。そんな白ヒゲ海賊団の長男に攫われたのだから、それは凄い…というよりも相応の自覚を持って欲しいと、声を大にして言いたい。

「ま、我らが長男と妹の為だ。」
「あとはモビーの平和な!」

ギャハハハとその場は笑いが起こったわけだが。
2月14日当日。マルコの分だけでなく、隊長格と一番隊員の分まで律儀に用意していたユキに思わず顔をひきつらせた。






(…)
((((…))))
(…残したら承知しねぇよい)
((((当然でっす!!))))


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