マルコ


「そういえばもうすぐホワイトデーだよなー。」

各々仕事がひと段落し、隊長格の奴らが数人食堂に集まっていた。そこで話題になったのは数日後に控えたとある行事についてだった。

「ホワイトデーといえばさぁ、マルコどうするんだろーな。」
「あぁ、ユキは宝飾品には興味が無いからねェ。」
「バレンタインならさ『プレゼントはワ・タ・シ(ハート)』とかやって貰いてぇよなぁ!!」
「サッチ…」
「キモい。」
「うるっせぇよ!!」

夢見る俺に辛辣な言葉を容赦なく浴びせてくるエースとハルタ。夢くらい見たっていいだろぉが!まぁ俺もさっきの自分はキモいと思ったが。

「けどよぉ、マルコ自身をプレゼントしたら大変そうだよな。」
「「「…」」」

ふと皆が動きを止めて考えるように宙を見上げる。

「あー、鍋で煮られてるマルコが見えた。」
「俺は瓶詰め。」
「くくっ、お前ら物騒だねェ。」
「えー?じゃあイゾウはどう思ったんだよ?」

コトリと湯のみを置いたイゾウは人の悪そうな笑みを浮かべて言った。

「俺が思うに…」
「「「…」」」

逃げてー!マルコ超逃げてーー!!





────

そんなやり取りがされているとはつゆ知らず、マルコとユキは自室で寛いでいた。
ふと本から視線を上げてユキの髪を撫でるのを止めれば、ユキは不思議そうな顔で振り向いた。

「ホワイトデー何か欲しいモンあるのかよい。」
「ホワイトデー…?あーえー…魔法薬の材料じゃなくてって事ですよね?」

ユキらしい答えに口元を緩める。今まで女っつーのは宝飾品を与えておけば良いと思っていたが、ユキはやはりそうでは無いようだ。そこがまた面白いと思うし、流石は俺のモンだとも思うのだ。

「別にそれでも良いけどよい。折角だから消耗品以外が良いねい。宝飾品とか。」
「指輪…は調合の邪魔だし、ネックレス…も使わない、というよりお風呂で取ったりすると着けるのを忘れるんですよね。」
「着けてなかったら俺が着けてやっても良いが、どうせならユキに使って貰いたいからねい。」

そう、着けてやるのは簡単だ。しかしそうではなくて、どうせならユキに自主的に使って貰いたい。そんな心情も理解しているのか、ユキはうーんと悩み続けている。
服はこの船に乗る時や上陸する際も度々買ってやってるので面白みに欠ける。いや勿論それでもいいのだが、どうせ脱がすので俺への褒美になりかねない。

「あ、なら髪留め。」
「髪留め?」

そんな邪な考えを読み取ったのかユキがアイデアを出してきた。

「はい。それなら調合の時髪を纏めるのに使えるし。」
「そんじゃあそれにするか。次の島で見繕ってやるよい。」
「ありがとうございます。」
「んで旨い飯食って、どっか宿でも泊まるとするかい。」
「私薬問屋見たいです!」
「俺は酒だねい。」

いつもの上陸に一つ加わったソレ。それだけなのに一緒にいられる事が嬉しくて。
ニコッと笑うユキの後頭部に手を添えて、彼女にそっと口付けた。


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