当分クッキーは見たくない



「やあ。」

漸く取れた猫耳に安堵していたら次の刺客が現れた。その姿は黒マントをつけたドラキュラ。ご丁寧に牙までつけてる。

「い、らっしゃいませ。」
「うん。なんか今日は地球で変なイベントやってるんだって?此処にくるついでにさっき参加してみたんだ。」
「はあ。」
「あ、今日は豆大福で。」
「あ、はい。」

お茶と豆大福を用意する。お盆に乗せて持ってくる。

「さっき貰ったやつ、もう食べ飽きたからあげるヨ。」
「え、はあ、ありがとうございます…!?」

ドンッと置かれたクッキーの山。どっから出した!?

「もぐもぐ」
「…因みにこんなにどうやったらこんなに手に入るんですか?」
「え?ごくん、こうやっただけだヨ。」

ガチャリ

「お菓子くれなきゃ殺しちゃうぞ。」

なんか違うそれェェェエエエ!!額に突きつけられた傘の先端。ニコニコしてるのが逆に怖い。可愛く言っても駄目だよ騙されない!

「…あ、私の手作りでもよければコレどうぞ。といってもカボチャのクッキーなんですけど。」
「ありがと。」

ニコニコしながら受け取る神威さん。下げられた傘にホッとする。ちょっとビビったよ。

「今日はもう行こうかな。そろそろ阿伏兎が来るだろうし。」
「え、あぁ。ありがとうございました。」
「うん、バイバイ。」

今日は流石に命の危機を感じた。お会計はこの後来た阿伏兎さんにお願いした。阿伏兎さんは肩を落としてうなだれながら払ってくれた。少し気の毒だったので、阿伏兎さんにもカボチャクッキーを渡したら、力無く笑ってた。


当分クッキーは見たくない


(こんなにどうしよう…)

戻るTOP