夕食はパンプキンスープ


仕事が終わり、すっかり日も沈んだ帰り道。片手に袋からはみ出す程のクッキーをぶら下げて歩く。まさちゃんと大将、女将さんにも分けたのにまだ沢山残っている。

「あ、こんばんは!」

買い物をしていこうと思い、スーパーに寄ると、入口付近で声をかけられた。突然の事もあり、驚いて顔をあげてキョロキョロとすると軽く手を挙げた男の人を発見。目が合うとニッコリしてお辞儀をして、小走りで近づいてきた。
…………山崎さん?あぁ、山崎さんだ。誰かと思った。
スーパーの前なので、暗さで見えなかった訳ではない。オーラが一般人なだけだ。
彼は隊服だったけれどハロウィンに因んでか、小さなカボチャランタンを持っていた。ランタンの中には蝋燭が入っているみたいで、くり抜かれた目鼻口から光が漏れている。

「今から買い物ですか?」
「はい。」
「あの、御迷惑じゃなかったらカボチャ貰って頂けませんか?」
「え?」

眉を下げて笑う彼は呆れたようにランタンを持ち上げた。

「いえね、うちの局長がハロウィンだー!って張り切っちゃって。少し前に色んな種類のカボチャを大量に買ったんです。」

そのランタンも手作りなんですね。

「ランタンも幾つか失敗しながら作って、女中のおばちゃんに頼んで使って貰っているんですけど。流石に買い過ぎだったらしくて。」

なかなか減らなくて困っているんです、と笑う山崎さん。特別断る理由もないのでお言葉に甘える事にした。

「あの、本当に宜しいんですか?」
「はい、是非!毎食カボチャで僕らも飽きちゃってるんです。」
「じゃあ、あの、お願いします。」
「良かった!じゃあ今すぐ持ってくるんで、買い物して待ってて下さい!」
「え、あの」

ちょっと!と言う間に山崎さんは走って行ってしまった。速い。流石ですね。
取り敢えず言われた通りに買い物することに。カボチャかー。何にしよう。


夕食はパンプキンスープ


(クッキー食べきれないし、お返しにあげちゃおう。)

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