彼と自分の差異


びゅう、と吹く突風に私は身を縮める。
その寒ささえ楽しいというように彼は校庭へ飛び出す。

「あ。雪。」

ひらりひらりと空から舞い落ちる雪を掴もうと手を伸ばす。
その姿は小さな子供のようで、私は自然に笑ってしまった。

「どーしたの?」
「なんでもない」
「なくないっしょ」
「ないよー」

こんなつまらない会話でさえ、私には宝物。
部活を終えて帰る方向が一緒だからっていつの間にか一緒に帰ることになって。
そんな毎日が続いて、心に湧いた感情が恋だと気付くには時間がかからなかった。
楽しい時間は時に残酷な事実を知らせる。

「ジロー?」

駅へ続く大通りに差し掛かったとき、雪を追いかけていた彼の視線が止まる。
視線を辿ると、彼女。

「ジロー?」
「んー?」

友達と一緒に駅へ向かって歩く彼女を追う視線。
いつもなら呼びかければ振り向いて笑いかけてくれるのに、この時だけは絶対に視線を外さない。
冷たい風が彼女の緩く巻かれたロングヘアーを揺らす。
横顔が少し緩むのがわかる。
そんな小さな変化も私なら見逃さないのに。

「雪やんだよ」

空には青空が広がる。
雪が降っていたことさえ嘘のように。
顔を出した太陽が道を行く人々を照らす。
それでも寒くて、私はぎゅっと体を縮めた。
寒いのは風のせい。

2011/1/11

タイトル:meg

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