校門前で待ち合わせ。


あの頃は永遠が本当にあると信じていた。
それは数年経って呆気なく崩れる。
組み立てることに必死で方法を忘れてしまった二人は直すことを諦めた。


10年振りに見た校門は思っていたより小さくて、時間の長さを感じた。
人の気配はない。菜々はため息をつく。
10年も前の約束なんて、忘れられて当然だ。
菜々が錆び付いた柵に手を掛けると想像していたより豪快に揺れ、音を立てる。
その音に反応したのか、人影が飛び出す。

「…菜々?」

名前を呼んだ声に体が強張る。
菜々は確かめるように自分へと進む足を眺めることしか出来なかった。

「佐伯、くん?」
「久しぶり」
「本物?」

見上げた顔は10年前より大人びていて、菜々は思わず問う。
それは佐伯も同じで、思わず笑った。

「見間違えるほど変わった?それとも…顔なんて忘れた?」

隙間から通された腕は菜々の髪に触れた。
強い瞳は変わらない。
それは髪に絡む指を見ると、勢い良く左手で払い退けた。

「忘れていればよかった」

腕を振り払った手には指輪が光っていた。
その手を握り締めると菜々は走り去った。

「そういうこと、か」

残された佐伯は追い掛けるでもなく、菜々の背中を見ていた。
もう方法がわからずに手から離れるのを眺めていた子供じゃない。
校門を軽々と乗り越えると、菜々が去った方向を見据えた。

2007/6/19(2012/5/6 加筆)

タイトル:+DRAGON+BLUE+

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