生徒会室


私の彼は浮気病だ。
悪い癖なんてものではなく、あれは病気だ。
何度怒っても繰り返す。
浮気でもかまわないと言い寄る女が絶えないのが拍車をかけてる気がする。

「また連れ込んだでしょ?」
「あん?」
「何人目よ」

パソコンのディスプレイ越しに睨み付けるが動じる気配はない。
それどころか私の紅茶を断ることなく飲み干す。
テニス部の王様は常に王様なのだ。

「どんな女を選ぼうと勝手だけど生徒会室はやめて。気分が悪い」
「止めないのかよ?」
「止めてもやめないでしょ」

まぁな、と答えると重ねられた書類に目をやる。
こんな男のどこがいいのかと思うけど趣味の悪さは人を責めれない。
私も同類なのだから。

「全部遊びだ」
「知ってる」
「本気なのは菜々だけだ」
「知ってる」

言い終わるのを待って寄せられた唇は紅茶の味がした。
体を引き寄せた手を突き放せない私は、彼以上の末期患者だ。
全てを遊びだと言い切り、私を選んでくれる快感は麻薬に等しい。

「好きだ」

甘く囁かれる度に堕ちて行く気分になる。
きっと彼は堕ちて這い上がれなくなった私を簡単に切り捨てるだろう。
潔白であるべき生徒会室は今日も役目を果たせずにいる。

2007/8/30(2012/5/6 加筆)

タイトル:+DRAGON+BLUE+

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