1日限定


文化祭の最終日にあるダンスの相手が心から愛する人だった時は、その愛は永遠になるという。
それは一方的な愛情だった場合はどうなのだろう。
一生、片思いのままなのだろうか。
そんな事を思いながら、私は彼の手を取った。

「俺じゃなくて他に踊りたい人がいたんじゃないか?」
「そんなことないよ」

ゆっくりとしたダンスは何度も体育の時間に練習したせいか、とても簡単だった。
だけど脚がもつれそうになるのは、目の前の彼のせいかもしれないし、単純に本番に緊張しているだけかもしれない。

「真田くんは?」
「いないな、残念ながら」

ふっと笑った顔はとても優しくて、日頃の彼からは想像出来なかった。
彼もまたダンスがぎこちなくて、困った顔で苦手なんだ、と言った。

「誰か素敵な人が現れるといいな」

見上げた顔はとても優しそうで、少し胸が苦しかった。
その瞳に映りたいと思った。
あと何分かすればこの手が離れるのかと思うと名残惜しかった。
今日だけ、今だけでもいい。
この想いが触れた箇所から全て伝わればいいのに。
小さく呟いた言葉は、音楽に飲まれていった。

2007/10/23(2012/5/6 加筆)

タイトル:+DRAGON+BLUE+

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