この身は君しか愛せない


不確かなもので作り上げた、砂の城のように簡単に崩れ落ちるものだとして。
それを手放すことなんて、絶対に出来なかった。

「ん…どうかした?」

ベッドから身体を起こして生温くなった水を飲み干すと、隣から声がした。
開ききらない目を擦っている姿を見て、喉が締め付けられる。
知っていたはずなのに、今更、自分たちの罪深さを感じるなんて、都合が良すぎる。

「喉が渇いただけだ」

いつもの様に上手く笑えていない気がした。それを悟られたのか、もぞもぞと動き、細い腕を腰に絡み付かせる。

「私、後悔なんかしてないよ」

しっかりした声で言った。
胸が裂けるほどの切なさと、激流のように押し寄せる愛おしさに息切れを起こしそうになる。
なんて、逞しいのか。支えているつもりが、支えられてる。

「当たり前だ」

お互いの顔を見合わせ、とても自然に唇を合わせる。でもそれは幼い子供のように、とてもぎこちない。

崩れても、守ればいい。
そして何度でも何度でも、作り上げてやる。
この手を離してしまうことほど、辛いことなんてないのだから。
二人ならきっと、絶対に大丈夫。

2008/12/26(再録)
2008/5/22〜12/16:拍手のお礼として掲載

タイトル:確かに恋だった

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