最初は一目惚れだった。
偶然同じクラスになった。
異性では一番仲が良い。
それは自惚れじゃないはず。
「って聞いてんのかよ!」
「聞いてますよっ」
机に広げられたプリントを順に並べてホッチキスで止める。
その音が静かな教室に響く。
宍戸は今年入ってきた部員について熱心に語った。
「お前んとこはどうなんだよ」
「部長が頑張ってる。私も頑張りたいことあるんだ」
「何だよ」
沈黙に宍戸は外を眺めた。
後輩たちがコートで部活の準備をしている。
「最後の一年、後悔しないようにしたいな」
私を見るとゆっくり笑った。
風でプリントを音を立てて波立つ。
抑えようと出した互いの手が触れる。
綺麗に焼けた腕を引くと、不意打ちを食らった宍戸は前のめりになった。
そして、一瞬だった。
「じゃ覚悟しといてね」
山の半分を持ち、立ち尽くす宍戸を置いて教室を出た。
触れた唇が熱い。
その熱は徐々に身体を覆い尽くす。
恋は女の子を強くする。
それは嘘じゃない。
2007/9/25(2012/5/6 加筆)
拍手お礼(2007/9/25〜2008/3/2)