五条が朝陽の死を知ったのは、あの空港で、みんなと会った時だった。
傑や七海や灰原と昔のように会話をして、学長にも昔のように悪態をついて、みんなで笑い合って。
傑や硝子や朝陽に聞かれたら、らしくないことだと笑われるかもしれないけど「悪くない最期だな」なんて思っていた。なのに。
「やっほ、悟!思ったより早く会えたねぇ」
悟「…っ、……お前、なん、で…」
「あはは、その変なサングラス、久々に見たわ笑」
悟「……何、勝手にしんでんだよ。
…俺のいないとこで」
「えへへ、がんばったんだけどねー。
ツラが傑だからやりにくくって」
傑「おいおい、私のせいにするなよ」
「最後のは傑のせいだよ〜。
もう呪力限界なのにさ、“私だと思うな。気にせずやれ”って囁くんだもん。
泣きながら気合い入れたら呪力足りなくなって身体真っ二つにされたじゃん」
傑「そこまでに使いすぎなんだ。
精神を乱されたりするからだろう」
「それもツラが傑なせいじゃん」
傑「まったくお前というやつは…」
悟「……ははっ、そうか、身体真っ二つな…。
…いーね、俺とお揃いじゃん」
「はぁー?そんなお揃いいらないんだけど」
傑「良かったじゃないか、ペアルックができて」
「すーぐーるー…その腹立つ爽やかスマイルぶっとばしてやるからツラ貸せよ…」
傑「やだなぁ朝陽〜怖い顔して〜(棒読み)
私に構っているより、横の男を見てごらんよ」
「ん?(傑に掴みかかったまま悟に目を向ける)
…ちょっ、悟。なーに怖い顔してんのよ」
朝陽が、死んでいた。
俺より先に、俺のいない所で、俺が…守れないところで。
朝陽は俺のものだ。
子供の頃からそう決まっている。
髪の毛1本から爪先まで、全部、俺のものなんだ。
俺の朝陽の、綺麗な身体を真っ二つにしただと?
羂索、お前は殺しても殺し足りない。
傑の身体の件といい、お前だけは絶対に…
「さーとーるー、悟ってば。聞いてんの?」
朝陽が怪訝な顔で俺の顔を覗き込んでいる。
そうだ、朝陽が、目の前にいるんだ。
会いたかった。抱き締めたかった。
俺はいつもどこか孤独だった。傑に言ったように、どこかで生き物としての線引きをしていたんだ。だから朝陽の事も守るべき存在だと思っていた。
だけど、朝陽はさ、お前は…
いつだって俺の“心”を守ってくれていたんだ。
俺が、“最強”で居られるように。帰れる場所があると安心できるように。
…帰って、来られたんだな。朝陽のところに。
ごめん。悠二、みんな。
僕らの分まであのクソヤローをやってくれ。
僕はこっちの世界で、恋人からもらってきた沢山の愛を返すのに忙しくなりそうだからさ。
「…怖い顔してたと思ったら…何笑ってんの?」
悟「……ははっ。なんでもないさ。
身体真っ二つなんて、さすが僕の恋人だな!」
「はっ!?」
傑「…恋人?」
悟「なんだよ?」
「……告白された覚え、ないんですけど」
悟「は?ガキの頃言っただろ。 “お前は俺のもんだ”って」
「…え、待って。5歳のときの話してる?」
悟「そうだけど」
「………」
傑「…悟はどこまでいっても悟だな」
七「…さすがに無いです、五条さん。 一方的に恋人だと思ってたとか怖すぎて普通に引いてます」
灰「七海ストレートに言いすぎ!
みんなドン引いてるけど言わないでいるのに」
悟「いやだから灰原、お前が一番ムカつくよ」
灰「すみません!」
悟「…で、朝陽はなにか文句あるわけ?
もうずっと前から、僕のものだっただろ?」
「……ないわ。バカ悟」
悟「はは!当然だな!」
…これが、僕の妄想でない事を祈るよ。