主さんとあちきの疑似恋愛

夏を終わらす蝉時雨
椿落ちたるその時は
主さんとあちきの疑似恋愛
小指に掛けた妓女の思い
例えそれが、許されない恋としても
眠らぬ妓楼は天国か地獄か
紅に引いた君想い
この想いを和歌(うた)にして
嘘か本当(まこと)か夜の駆け引き
出られぬ籠から見える空
籠女、籠女と誰か歌う
わっちはただ、主さんと居たかった
今日もわっちをただの愛玩具
まことしやかに囁かれ
愛しなやかな酒を飲む
遊女花恋歌
白粉に隠した本音と涙
生きるも地獄、死ぬも地獄
憧れたのは大きく広い黄色の花
今のあちきは青く濡れた青の花
夜の帳に咲いた赤
だれか、だれかと手を伸ばす


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