09



とりあえず、わたしが言いたいことは一つだった。
誰なの、間違ってハロウィーンにトロール地下室に入れたうっかりさんは?
お陰でハロウィンパーティは台無し。髪の毛が戻ったことに対して、機嫌を良くしてた場合じゃなかった。1年生のハリー、ロン、ハーマイオニーはトイレでトロールと鉢合わせして、幸運なことにマクゴナガル先生から点をゲットしていたらしいけれど。出来る限り、トロールには鉢合わせしたくないわ、わたしならね。

とはいえ、今日は待ちに待ったクィディッチの試合だった。
マグルで言うところのサッカーみたいなスポーツ。まあ、実際はもうちょっと野蛮かしら。サッカーには興味がなくっても、クィディッチは面白いと思う。チャーリーが熱心に教えてくれたから、クィディッチのことに関してはなかなか知っている自信があるわ。
みんなしてグリフィンドールの旗を持って応援するのは、中々楽しくもある。スリザリンの席で、自分の好きな彼が、スリザリンの旗を持っているのが可愛くって、にやついたのには謝罪するわ。

「無理よ。だって、好きな男だもの。」
「せめて選手を見てやれよ。」

隣にいたランマルは呆れたようにため息をついた。相変わらずお前の男の趣味はオカシイって言われたけれど。ちょっと待ちなさいよ、アナタの女の趣味、どうかしてるって言われたらどう思うわけ?人に対して、言われちゃ嫌なことを言うってのは、賛成できないわね。
とはいえ、今日のわたしの願いは、マーカス・フリントが箒から誤って落ちてくれることだった。つい先日廊下でブラッジャーを当てられたのは、いくらなんでも痛かったワケ。ジョージとフレッドが敵を取るって、バッドを振り回してくれていたから、今日この日を楽しみに待っていたわ。

「フリントクソ野郎。」
「むしろそこまでフリントに嫌がらせを受けていると、フリントはキミが好きなのかと勘違いをするよね?」
「それは物凄く遠慮したい勘違いね、レイジ。」

5年生にもなって好きな女に嫌がらせしかできないって男、どうかしてるしょう。
そんな話はおいておいても、相変わらずリーの実況はいいセンスしていて好きだった。みんなの声援に負けないくらい声を出してグリフィンドールを応援しているけれど、スリザリンのプレイスタイルは、やっぱり好ましくない。
ルールギリギリのことをしてくるって、フェアじゃないにも程がある。フーチ先生が見ていないのをいいことに、ちょっと!今のは反則よね?!見たでしょう?!みんな見ていても、審判が見ていなきゃ反則にはならないってのはどうかしてるわ!サッカーだってそういうとこがあるけれど!

「ちょっと!恥ずかしくないの、それでもスリザリン?!」
「お前がスリザリンの何を知ってるんだよ、シンディ!」

わたしの言葉に腹を立てたのか、客席にまでブラッジャーが飛んできた。流石にブラッジャーの止め方は、チャーリーから教わってない!

「あぶねぇだろ!客席は故意的だぞ、フリント!」

隣にいたのがクロサキで本当に良かったと思うわ。彼が打ち返したブラッジャーは空の彼方へ飛んでいって、見えなくなる。アー、願わくば、そのままフリントの頭にぶち当たりますように。

「ありがとう、助かったわ。」
「フリントのお前への執着は異常だな。」
「嬉しくないわね。」
「いっそ付き合っちゃえば。」
「レイジ。」
「すみませんでした。」

スリザリンの観客席にいたスラグホーンと目が合ったから、手を振ってみたけれど、流石に何も返ってこなかった。きっと、自分に向けられてだとは思っていないのでしょうね。
まだ、手を振り合うような仲には、なれそうにない。でも、話しかけられるようになっただけ、随分と進展してるわよね?そうよね?まだ、諦めなくっても大丈夫でしょう?むしろ、始まってすらないってば!わたしの中じゃ!




(今日一、笑ったのは、スネイプのローブが燃えたことだったね!)(わたしはフリントのローブが燃えて欲しかった。)(まあ、いいじゃねぇか、ハリーのお陰で勝ったのはグリフィンドールだろ。)(今日のヒーローはハリーね!)(まあ、彼はそうじゃなくってもヒーローだ。)(あーあ、人生で一度でもヒーローになれたら最高そうだわ。)(ホントに思ってるのそれ?)(どっちかっていうと、ヒロインになってみたかったかしら。)(その顔でヒロインは笑う。)(潰すわよ、レイジ。)(ほら!キミはヒロインっていうより、ヒーローっぽいじゃない?)(何で今更言い変えたの?なんなの?)(チャーリーはこの女のどこがよかったんだと思う、ランラン。)(ドラゴンほど扱いがじゃじゃ馬なところじゃねぇか。)(お、うまい!)(失礼にもほどがあるわよ!わたしじゃなくって、とりあえずチャーリーに謝って。)(ルーマニアって方角どっちだ?)(さあ。)(もう!やっぱりわたしにも、謝るべきだわ!)(大丈夫だって!愛情がなきゃ一緒にいないから!)(そうだぜ。)(なんなのよ、わたしってそんなに扱いやすい女なわけ?!)(今頃気付いた?めちゃくちゃにね。)









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