10
クリスマス休暇は、あっという間に過ぎ去った。
クリスマスは家族で。というのは、どの家族も一緒で、ホグワーツはほとんどのみんなが帰省した。わたしも、一応ね。理解はされなくて悲しくても、家族が嫌いなわけじゃないから。
それに、マグルの世界のお付き合いってものも存在する。父親の繋がりのクリスマスパーティにアクセサリーのようについていくのは、マグルでは変わったと評されるわたしも一緒じゃなきゃいけない。
「マジでクリスマスは最悪だった。」
「気持ちはわかるわ。」
年が明けて戻ってきたホグワーツでは、早々にそんな会話が繰り広げられた。
ランマルは、お家柄、社交界のパーティに出席しなければいけなかったらしい。隣にいるレンくんも、ランマルと同じパーティにいたらしく、いつも通りだったけどね。と、いつもの軽い笑みを浮かべる。相当、ランマルは社交界のパーティがお嫌いなのだ。
「ナマエサンが、マグルの社交の場に慣れているのは、彼の隣に立つための準備なのかな?」
「あら、その未来の話、悪くないわね!」
「それ、どう頑張った未来の話?」
「うるさいわよレイジ、まだ諦めるのは早いでしょ。」
始まってもないことを勝手に終わらせるのは、アナタ達の悪いクセね。そんな事言うなら見せてみなよ!との煽り文句に、スリザリンのテーブルまで来たわたしもわたしだけど。
何よ!別に本人の許可は取っているんだから、文句は言わせないわ。頼りになるリンゴは、テーブルのどこにもいなかった。少し心臓が高鳴るのは、当然。だって、今から声をかけるのは、自分の好きな彼だもの。
「あけましておめでとう、スラグホーン。」
「お前はわざわざ、どうして俺につっかかるんだ?」
「つっかかってないわ、新年の挨拶くらいしたっていいじゃない。」
ひどいわね、それくらい許して貰えないの?と眉を下げたような顔をしてみれば、少しだけ彼が戸惑いを覚えたのが分かる。
純血主義だからって思っていたけれど、そうじゃなくて、純粋に女性に不慣れじゃないかしら。なんだか、距離が少し近づいたからこそ、彼のコトを知った気がする。
もし、それが勘違いであっても、それくらいの勘違いをしてなくっちゃ、好きな人に待ちの姿勢になっちゃう。わたしと彼は、正反対だからこそ、それじゃあいけないの。わたしの勇気が、この恋を左右する。きっとね。
「今年は、アナタのことがもっと知れる1年に出来たらいいわ。」
「貴様の言う意味はよく分からない。」
「アナタに興味があるってことよ。」
「理解しがたいな。」
理解しがたくっても、アナタがわたしの視界に入るってだけでも、嬉しいって知ってた?
もちろん、まさかそんなことは、直接言わない。でも、去年の今頃と比べれば、少なくってもわたしの恋は進展していると思う。
だって、彼はわたしの存在を、知っていた。その瞳と自分の瞳が重なることも、叶う。
そんな彼の隣を、誰にも譲りたくないって思った。だから、待つのはやめるわ。
アナタにもっと近づきたいし、アナタをもっと知りたい。わたしが知らないアナタも見たいし、アナタが知らない世界だって見せたい、そしてアナタの知る世界をわたしも、もっと見たい。
わたしとアナタは正反対だからこそ、色んなことが違う。だから、何もせずに、アナタから興味を抱いて貰えるなんて思わない。何もしなかったらそこいらのマグル出身の1人で終わるでしょう。そんなの、ごめんだった。
「わたしがアナタと話したいじゃ、理由にはならない?」
「好きにすればいい。」
立ち去ったアナタが、否定をしてくれたら、って考えたこともある。そうしたら、この恋はあっけなく終わってしまうのにね。アナタがそうじゃないから、わたしは諦められないってこと、分かっていたほうがいい。
わたしのことを見ていたイチノセに、アナタは飽きもせずスラグホーンですか。と呆れられるくらいには、スリザリン生もわたしが彼にお熱だってことを理解し始めたらしい。
(あら、ナマエ。スラグホーンに声をかけてたの?)(びっくりした、飽きないわね。)(失礼ね、飽きたらわたしの恋が終わりでしょう?)(まだスラグホーンを好きだったの?)(ちょっと、誰よ勝手に終わらせたのは!)(最近そんな噂聞かないから、もう諦めたのかと思ってた。)(もう。アナタ達の噂で、わたしの恋の行方を決めないでちょうだい。)(ごめんなさい、マグル出身のアナタが、純血主義のスリザリンをスキって話、みんな知っているけれど...その結果までは、みんな話題にしないの。)(みんなして、無理だって言うの...?)(ああ!違う違う!アナタなら、むしろ叶えそうで怖いって思ってる。本当よ?)(怖い?)(一筋縄じゃいきそうにない、ってこと。)(それはわたしもそうだけど、彼だってそうよ。)(だって相手はあのスラグホーンだもの、そりゃあそうね。)(でも、こっちもこっちで、このナマエよ。ある意味ぴったりだわ。)(なあに、それ。)(アナタって、最高に変わってるもの。)(あら、マグルでもそうだけど、魔女になってもそう言われるの?最高ね、わたしって。)(そういうポジティブなところ、だいすきよ。)(ありがとう。)
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