11 (Reiji kotobuki)



僕達の最初の出会い?
彼女はどうか知らないけれど、僕はしっかりと覚えている。マグル出身のその女の子は、僕にとって、かなり衝撃的だったんだ。
11歳までしか生きていない中で、ああいや、もうそこから成長した今だって、彼女はレア中のレア。アーだからって、もちろん、生焼けって意味じゃない。

他の誰とも同じじゃないってのが、彼女のポリシー。
そして、それを体現したような生き方をしているのが彼女、ナマエ・シンディって魔女だ。マグル出身だってことは彼女にとって、別に大差がないみたいに見えたね。誰にマグル出身だって笑われても馬鹿にされても、いわゆる差別じみたことだってされても、僕らの前じゃ泣きもしなかった。
彼女は、底なしに明るくって、馬鹿をやって、いっつも楽しい奴。
そうやって振る舞うことが、色んな人の心を動かして、僕だって、彼女の周りだって、彼女を大好きになったんだと思う。彼女は敵を少し作りやすい、なぜなら自分が自分らしく生きることを止めないからだ。誰になんていわれても、彼女がノーじゃないなら、それはノーじゃない。だからと言って人の話を聞かない馬鹿な頑固者でもなくってさ。嫌な奴じゃないってわけだ、つまるところ。

だからこそ、敵より味方が多かった。何かあったときに、周りを守ってくれる強さを持つ彼女だったけれど、彼女に何かがあったら、周りが黙っちゃいない。僕だって、みんなだってそう。

アナタ達を笑わせられないくらい肝っ玉が引っ込んだオンナになり下がったならなら、引っぱたいてでも、わたしを叩き直して。もし泣いてすがるようなことがあったら、厳しく叱って。そんなわたしを一番許せないのは、きっとわたしだから、これだけはアナタに頼んでおくわ。
そう言われた時、彼女のことを知っている僕は、こう思った。なりたい理想も高いし、そこにいたいってパワーも大きい。だから、彼女の姿は、人を惹きつけるのかもしれないって。
そうやって生きることをリスクのように感じる人もいるけれど、そうなれない自分に対する言い訳だって、僕には見える。
だって、誰の目を気にして生きるんだろう。僕は彼女から、誰より自分が納得する自分で生きることを教わったよ。それは、マグル出身だろうが、純血出身だろうか、関係ない。
彼女は僕たちにとって、立派な魔女だった。僕達は、何だかんだで、彼女の大ファンなんだ。勿論、彼女に恋なんてしようとは思わない、彼女は僕たちの最高の仲間だからね。

「何にやにやしてるの。」
「キミと、スラグホーンの恋の行方が気になってさ。」
「そいつはわたしも気になるところね?」

相変わらずこの調子。一緒にいると、楽しいって心から思える。
女の子じゃないとは思ってない、ただ、キミのことは女性以上に、仲間だって扱っていることは、否定しないよ。
さて、この最高の仲間との出会いは、僕達のホグワーツ生活の初日。ホグワーツ特急が出発する前だったのを、紹介しておこう。



マグルも魔法使いも、今日はいつもより多く行き交うらしい。僕のママの情報じゃあね。
多くのマグルに紛れて、僕達はマグルの乗り物でやってきた。ママも僕も、マグルの乗り物には慣れていない。車っていうパパが運転するクールな乗り物には、僕もママも興奮しっぱなしだったよ!どうしてマグルの乗り物は空を飛ばないんだろう、非効率的だけど僕達はこれを気に入っていた。
キングズクロス駅についた時には、パパだけ酷く疲れた顔をしていたけれど、我が家ではよくある風景ってね。パパとママの間から覗く駅は、マグルだらけ。こんなにもマグルが多い場所を見たのは初めてだった。少しドキドキするのは気のせいじゃあない。
僕たちが今から行くのは、9と3/4番線。ホグワーツ特急の出発するホームだった。

「すみません。9と3/4のホームはどちらですか?」

聞きなれた言葉が聞こえてきて、僕の耳は一気に大きくなる。昔パパが教えてくれたマグルの生き物、アーあれはなんだっけ?キリン?それは首の長いやつだったっけ、とりあえず、耳が大きな動物がいるんだけど、ソイツみたいになっちゃうかと思ったよ。
よくよく見たその子は、僕と同じくらいの女の子。ああ、マグル出身なのかな、一人でわざわざここまで来させる家があるもの?色んな事を考えながら、彼女を視線で追いかける。駅員のマグルは、彼女に向って冷たい言葉を吐きつけた。

「何言ってるんだ?そんなのあるわけないだろう?」

そう、ありがとう。と、あんまりな態度の男へ笑顔を返したその彼女は一度不安げな表情になって、そうしてすぐに、元へ戻る。そこからどこへ行くのかと見ていれば、彼女の両親らしき人たちに小走りで向かっていった。ああよかった、一人じゃなかったんだね。って、なぜだか僕が一安心だ。

「駅員さんは知らないって言ってた。」

その返答って、僕と変わらない年齢の女の子なら上出来だと思う。少なくても、僕がその返答をした時に、パパもママも、彼女の両親のような反応はしない。その家族は、僕の家族と全く違っていた。だからこそ、興味がわいたのかもね。じ、っと見つめるのを許してほしい。
母親が、やっぱり魔女だなんて何かの冗談だったわ!と喚く隣で、正反対に父親は冷静な態度だった。どちらかというと、その彼がしていたのは、僕のパパのボスがパパにするみたいな顔。僕が見ても、それは子供に向ける表情とは、違う気がした。

「お前は誰に聞いたんだ?もしお前が魔女なら、駅員になんて教えるわけがないだろ。目のつけ所をどう間違えたらそこに聞く?」
「ごめんなさい、間違えたわ。」

もしかしたら、その女の子は泣きそうになったのかもしれない。父親に強い言葉を口にされて、普通だったら泣き出してもいいはずだ。僕だったらあんなことパパに言われたら泣きだす自信があるね、だって僕のパパはあんなことを、僕には言わなかった。
でも、彼女はそうじゃない。
泣き言を上げそうになったかもしれない唇は、ぎゅっとしっかり閉じて、少しだけ涙のたまった瞳はキョロキョロあたりを見渡す。そうして、じっと彼女を見ていた僕と、その彼女の目が合うんだ。彼女と僕は同じくらいの年齢、格好だってパパはマグルには見えても、ママはマグルじゃ変わった格好をしているのは僕だってわかってる。
それに気付かないほど、彼女も馬鹿な女の子じゃなかったみたいだ。袖で涙を拭いたと思えば、ずんずん進んできて、彼女は僕の目の前に来ると、失礼?と口を開く。

「ホグワーツに行きたいの、出発ホームへの行き方はご存知?」
「ああ、知ってるよ。」

きっと僕はこの時に分かってたんだ。彼女とは、このあと長い付き合いになる、と。

僕とは正反対に育った女の子で、彼女の家族は、正直見ていて変わっているなって思った。そんな変わった家族で育った彼女は、僕の予想以上に変わっていたよ。
だけど、それ以上に僕達は、最高の仲間になれた。




(ねえナマエ。)(なあに?)(いや、やっぱりなんでもないや。)(なによ、それ。)(言いたいこと忘れちゃった。)(えっ、おじいちゃん?)(失礼!)(言っとくけど、アナタ達の方がわたしに失礼だからね!)(えっ、そんな失礼なこと僕が言うはずないじゃない?)(言ってるわよ!)(ナマエの恋をこんなにも応援してるのに?)(めちゃくちゃ棒読みに聞こえるすごい。)(そんなことないでしょ。)(さあ、どうかしら?)(―ナマエとレイジって、いつもああだよね?)(いいじゃない、ロン。互いに楽しそうだもの。)(そうだね。親友なんじゃないかな。)(ハリー、それ2人には言うなよ。)(ランマル、どうして?)(奴らは素直じゃないんだ、互いにね。)(そういう言葉じゃ推し量れないものでもあるしね。)(ま、そういうことだ。)







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