07
ウキウキのウッドと、ウキウキのマクゴナガル先生はちょっと違和感があったわ。
でも、ハリーが最年少シーカーに選ばれたと聞いて、それに納得したのは、つい最近のことだった。
「グリフィンドールのシーカーは、あのハリー・ポッターですって?」
「ええそう!これでハッフルパフにも、負けないかもね?」
「生憎、ハッフルパフはそんなことじゃ負けないわ。」
自主練習中のアメリア・グリーンを冷やかせば、彼女は器用にも箒に乗ったまま近寄ってきてくれる。
最近クィディッチの選手に選ばれたばかりで、肩の力は自然と力んでいるようにも見えたけれど、それは当然のことかもしれない。彼女が手にしたのは、1年の合同授業で仲良くなった頃から、ずっと目指していたチェイサーの席だ。なりたいと思っていたところで、簡単に手に入れられるポジションではなかった。
忙しくなった3年生。それにも関わらず、自主練習に明け暮れている彼女には、尊敬の念さえ抱く。こうやって何かに打ち込めるって、とても素敵だし、自分にはまだ見つけられていないと思うと、何だか羨ましい。それを素直に口に出せば、くすくすと品よく彼女は笑った。
「あら、アナタはスリザリンの彼がいるじゃない。」
「ソレはちょっと違うもの。」
頬を膨らませるわたしに、ないものねだりね?と彼女は、まるで同じ年とは思えないことを言う。彼女のほうが、たまにお姉さんみたいなところがあった。
「それで、そのスリザリンの彼とはどう?」
箒から降りた彼女は、付けていたグローブを外しながら、わたしへ尋ねる。その質問をする彼女は、年相応に見えた。
「何も進展がないと思ってるんでしょう?」
「まさか!そうは思ってはないわ?」
クィディッチセットへクアッフルを仕舞おうとして、こちらへと顔を向けた顔は、そうは思ってない、といいつつ、そうは見えない。んもう、みんなしてひどいんだから!まあ、1年間も進展がなきゃ、そうよね?自分でも、みんなの反応には納得しているところがあった。
「なんと!本人に話しかける了承を得たのよ!クソフリントにローブを台無しにされたお陰でね!」
「ローブを台無しにされるって、一体何をしたの?」
「雑巾をぶっかけられた、ってとこかしら。」
「それは怒ったっていいのよ、アナタの沸点どうかしてるから。」
それってもしかしなくっても、怒らなさすぎるって言いたい?
確かに、彼女の言葉通り、本気で怒ることはあんまりないかもしれない。この間は、流石に好きな人の前で馬鹿にされたのが頭にきたけれど、それでも、殴り合いのケンカになってないことを考えると、本気で怒ったには程遠いかも。
まあ、なんとかなるでしょ。そう口にしたわたしに、アメリアは小さくため息をつく。言っても無駄だ、って思ったのは大体正解ね?
「アメリアさん...!」
小走りでかけてきた赤毛のボブの女の子は、初めて見る顔だった。
イエローのタイ、ってことはアメリアと同じハッフルパフの新入生ね。ちょこまかしていてカワイイ、小動物みたい。ぺこり、と頭を下げられたので、ひらひらと手を振ってみる。
「ナマエ、ハルカ・ナナミ、今年のうちの新入生よ。ハルカ、彼女は、ナマエ・シンディ。」
「ハーイ、ハルカ。」
「マグル出身で純血の男に恋してるわ。」
「ねえ、それって必要な情報?」
「あら、アナタを紹介する時に凄く最適よ。」
「ありがとう、これでスラグホーンを他の女に取られずにすむかもしれないわね。」
「あの男に恋する変わり者も、アナタくらいだけど。」
「ウソでしょう、いい男よ。」
「わたし達には難しいってこと、覚えておいて。」
おかしいわね、ちょっと信じられない。もしかして、アナタ達、彼の良さってのを分かっていないんじゃない?そう返せば、そもそも彼はスリザリン生としか一緒にいないから、普通は彼の魅力を知らないことを伝えられる。
見ていれば分かるじゃないの、見ていれば。何よ、ストーカーがすぎるって?そんなことないわ、リンゴが教えてくれるんだから、わたしはそんなマグルで言う犯罪紛いなことはしていないもの。ちょっと目で追うくらい、みんなしちゃうでしょ?
それに、別にスラグホーンのバスタイムとかってのは興味ない。...あら、やだ、よくよく考えれば、興味あるかも。だって好きな人だもの!
「ねえ、男子生徒のバスタイムは覗いたら退学?」
「ナマエ。」
「ええ?」
「1年生の前で何を言い出すのかしら?」
いやね、アメリア・グリーンが怒ると怖いってことを忘れていたわ。
(そんな男子生徒でも言わないようなこと、アナタが言ってどうするの。)(欲望に忠実になってみようかなって、ほら...!)(ハア、たまにアナタには呆れるわ。)(そんな!アメリアに愛想をつかされたら、わたしはどうしたら...?!)(大丈夫よ、アナタには沢山の友達がいるでしょう。)(やだ!)(赤ちゃんみたいなこと言わないの。)(あーもう、ナマエってば、こんなとこでグリーンに迷惑かけてたの?)(ああ、コトブキ。)(迷惑はかけてないわよ?!)(呆れた顔した彼女を見れば、キミが何かやらかしたのはわかるよ。)(そうね、男子生徒のバスタイムを覗こうと目論んでたかしら。)(ちょっと!アミィ?!)(ったく、お前は男子生徒かよ。)(ええ、わたしも全く同じことを彼女に言った。)(言われた...。)(反省なさい。)(でも!好きな人だったら、構わないでしょう?)(ぜんっぜん構う!)(どういうロジックなのよ。)(イイ訳ねぇだろ。)(んもう、みんな頭が固いんだから!)
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