08
ハロウィンって大好き!ああ、あとクリスマスと、イースターもね。
どうして?って、お祭り騒ぎが出来るからに決まっているじゃない。他に何か理由があるかしら?
「おかしちょうだい、おかし。」
「せめて、トリックオアトリートくらい守れよ、テメェは。」
「もう、心が狭いわよ、ランマル。」
談話室に降りたら、まだ頭のセットが出来ていないランマルと鉢合わせをした。
ちょっとご機嫌斜めなのはそのせいかしら。別にアナタの頭が、ぺちゃんこだろうが、そうじゃなかろうが、わたしは一々気にしないわよ。アナタのことを好きな女の子じゃないんだから、安心してちょうだいよね。
髪型くらい好きにさせろ、と杖を一振りで上手にセットする姿で、彼の出来の良さは理解できる。よくもまあわたし達と友達やってるわ。あ、それくらいはわたしも出来るけれど。とどのつまり、わたしも出来が悪いわけではないってことよ、嫌味でごめんあそばせ。
出来る人間は、出来る人間とつるむものだ、ってマグルの父親がよく口にするの。こういうところ、スリザリンみたいなお育ちの仕方をしてる自覚がある。(もちろん、差別もしないし、実力で他人を推し量る真似はしないけれどね。)
「朝から元気だよね、こういう日だけ。」
「ええ!こういう日だけね!」
「イベント事以外は、寝起きが悪いってのに。」
「あら、わたしのチャーミングなポイントのひとつでしょう。」
「自分で言うあたり重症だな。」
「よし、ルーマニアに送ろうぜ。」
チャーリーのネタを相変わらず引きずるのは、やめてあげてちょうだい。っていうか、先輩が卒業すると必ずと言っていいほど、その人が好きだった人が今更ながらに話に上がるのはどうしてなの?どこの学校もおんなじなのかしら。しかも、在学中には決まって、みんなだんまりなのよね。
卒業したからってあんまり話に出し過ぎると、本当にルーマニアで彼が泣いちゃうわ。せっかく、自分の事を好きでいてくれたのに、気付かなかったことは謝る。だけど、アナタは優しすぎるわね。ふられたら、じゃなくっても、もしかしたらアナタに心が揺らいだかもしれないのに。
って、それは流石にないか。だって、会話もしたことのない男に1年間片想いを続ける諦めの悪い女だもの、わたし。諦めが悪いマグル出身で有名かもね、ああ、ついでに記憶力も悪いってことは教えておくわ。
「それで、広間に来るまでにいくつゲットしたんだい?」
「数えてないけど、いっぱいね!」
出逢った友達に、トリックオアトリートを口にすれば、みんな丁寧にもポケットからキャンディやチョコレートを取り出した。まあ、仕方ないわよね。わたしの両サイドにいるのは、悪戯好きで有名なあのフレッド・ウィーズリーに、ジョージ・ウィーズリーだもの。
用意を忘れたのは、ハッフルパフ生のリューヤくらい。わたし達よりも上級生の彼は、双子の悪戯にはご丁寧に防御魔法で返してくれた。お陰で、なんにもしていなかったわたしの頭がいま、カラフルになってることは、どうにかして欲しい!
「アナタ、どうしたのその頭?」
「いい質問ね、アンジェリーナ。この隣のクソ野郎共に聞いて貰っても?」
「あら、ドンマイ。でも、似合ってるわよ?」
ねえ、馬鹿にしてるでしょう。こんな七色の頭!
わたしだって自分に似合う髪色や髪型は分かって、セットしてきている。わかる?マグルの女の子って、お洒落に敏感なんだから。
ティーンズモデルをしているわたしの妹からしてみれば、わたしは魔女のセンスにお似合いってくらいダサイらしいけれど。それでも、魔女にしてみれば、お洒落な方だって言われる。それくらい気にすると思わない?だってわたし達、ティーンエイジャーよ。
「ねえ、これどうやったら元に戻るの?」
「それが俺達にも分からないのさ。」
「今、何て?」
「アー、分からない、って言ったんだ。」
朝食のテーブルに自分の頭をぶちつけるとは思ってなかった。いや、お前2年の組みわけの時にもしてたぜ?そうランマルが突っ込みをいれたのは、聞かないフリをする。
何を混ぜて作ったかも忘れるなんて、アナタ達の頭は飾り物なの?スリザリンのテーブルに泣きつきに行きたい魔法薬学のホープ、リンゴ・ツキミヤはいるけれど、どうにもこの頭じゃはばかられた。だって、こんな頭の自分を、好きな男に見られるなんて、信じられる?どんな罰ゲームより恥ずかしいわよ!
「ナマエが恥ずかしいって思うことってあるんだね。」
「ハリー、色んな意味で貴方に聞きたいことがあるわ?」
「おいハリー、命知らずだぞ。」
「ロン、聞こえてるわよ。」
わたしだって、そうは扱われなくっても、女性だってことをみんな忘れちゃいない?
特にそこの双子!許さないわよ!!
(オーケー、俺達が代わりにリンゴにお願いするよ。)(急いで、今すぐにね。)(俺達はその髪色嫌いじゃないぜ?)(おだまり、早くしなさい。)(本当なのにな?)(こういう時にだけ、褒める理由は分かってるんだから!)(ほら、いつもは素直になれない俺達もいいだろ?)(それが本音なら、常に素直でいて欲しいわね?!!)(ワーオ、ナマエサンのその髪色、いつにもましてクールだね?)(馬鹿にしてるのかしら、レン。)(いやだな、本当に思ってるよ。今年は、そのカラーを流行にする?)(結構です!)(そういう髪色も、似合うんじゃないかな?)(ねえ、本当に嫌がってるのにそんなこと言う?)(でも、本当に似合っているのにそれを否定するのもおかしいだろう?)(はあ、ヤダ。アナタには負けるわ。)(負かそうとは思っちゃいないよ。)(アナタ、今まで女の子に刺されてこなくて?)(安心して?)(一瞬でもこの髪色でもいいかも、って思ったわたしが馬鹿よ。)(そう思わせた俺が悪かったかな。)(でも、わたしの好きな人は、この髪色の女を許せるほどのキャパシティは、していないと思うのよね。)(それはそうかもしれないな。)(ああもう、こんなこと言っちゃって!好きな男に染まる女みたいね?!)(どちらかといえば、キミは、好きな男を自分に染める方がお似合いだ。)(わたしも、そんな女性の方が憧れるわ。)(好きな男に好かれるためには、何でもするかい?)(ふふ、好きな男の好みの女を変えることは、するかもね?)(そういうナマエサン、好きだよ。)(ありがとう。その言葉はスラグホーンから頂きたいものだわ。)
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