嘘つきの目をしている。
彼はどうしようもないくらいに素直で優しくて、だからこそ嘘つきなんだ。愚直だと言えてしまうのであれば惹かれはしなかっただろうし、彼の持つ優しさにトキメキを覚えることもなかっただろう。
だけれどもそう言うためには幾分か優しすぎたのだ。だからこそお前は貧乏くじを引くんだよ。

「あのマスター私の顔になにか」

「ううん」
「そうですか。ですがそうも見つめられてしまいますと」
「恋に落ちる?」
何気なく投げた言葉。答えなど何も期待していない。試すと言えば性格が悪いかもしれないけれど、
そう私は彼を試した。忠誠心でもなく人間性でもなく、私は彼の事を理解しているのか。そして彼は私の思い描く答えを返すのか。当たっても外れても私達の関係は何も変わらないのだ。
ため息をひとつ。それから少し考えて
「そうですね。」
そう柔らかく微笑んだ。ほら、嘘つきだ。
美しい嘘を綺麗な顔で、うっとりするような微笑みで簡単につく。私の思った通り。
やっぱりなと思っているのが顔に出ていたのか、はたまた彼もまた私を見ているのか少し距離を詰めて問い返す。
「それで、合格点を頂けましたか?マスター。」
手を取りそっと口付ける仕草と距離に互いの間に小さなテーブルがあったとしても胸が高鳴った。
勝負など最初からしてはいなかったが、こうもされては私の負けだろう。彼を試すことも反応を見て遊ぶことも諦めるしかない。これ以上はいけないと頭のどこかでサイレンがなる。
合格点もなにも何とも思ってもいないくせに。このどうしようもない嘘つきめ。

膨れた顔で目の前の騎士を睨みつければ、ぷっと吹き出し「これは失礼」と笑いながら詫びを入れる。
その笑顔があまりにもキラキラと可愛いので釣られて私も笑ってしまった。プライドも優しさも捨ててたまにはそんな風に笑ってみせてよ、これからも。











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