あのマスター?そういうのは自分の部屋でやってくれません?と文句を言いたくなるような臭いが部屋中にたちこめる。
椅子に片方足を乗せて真剣に自身のつめさきと対峙する彼女は独り言を零しながらそれらに色を乗せていく。
「面倒ならやらなくていいと思いますけどね」
そう言うとキッと睨まれた。おーこわ。彼女の爪が鮮やかな緑で彩られていくのが気になって機嫌を取るついでに色の意味を尋ねると、ただのラッキーカラーだと言われ今度は俺が気に食わない。
「ちょっと借りますよ」そう彼女の手から小瓶を奪い取り、彼女のそれらに色を乗せる。「これで俺の色っすね」とわざとイタズラに笑顔を作れば、顔を真っ赤にして「そういうことすぐ言う!」とお小言。わかりきった彼女の反応も狙い通りだと心が踊るもので、彼女の手を取り「海にでも行きます?」等と浮かれた事を口走ってしまう始末。悩む彼女に
「サンダルから覗くペディキュア俺は好きですよ」とそんなフォローにもならない言葉でまた誘いをかけ、彼女が乗ったら夏の遊び方でも教えてやりましょうかね。それから彼女が俺に落ちて惑溺するのが早いのか真っ黒に焼けるのが早いのか。明らかに不利とも思う賭けも場所が変わると風向きもきっと変わるもんでしょ。












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