▼【真っ白の花束】
◇狼さんの娘子供。と言葉でねじ伏せてきた生徒はいつの間にか大人びていた。
同学年の生徒より、ひとつ飛び抜けて。
他人の死を見たその少女の、覚悟を決めた目を見る度に、思い出す、愛しき人。
「………その花は?」
「ホグズミートにお花屋さんが来ていて、可愛かったから買っちゃったんです!
地下牢教室に置いたら、可愛いと思いまして!」
両手いっぱいに抱えられた花。
彼女の表情に似合う真っ白な百合の花。暗いこの教室に似合わないその白。
「ここには花瓶など無い。談話室にでも持って行きたまえ」
「そう思って、花瓶も持ってきてます」
「………減点覚悟で来たようですな」
「減点反対でーす」
やっぱり、似てなどいない。なのに。重なる面影は、それは。
(大人びてしまった彼女の瞳の中に見えるはずもない緑が見えて)