*Merry Christmas*
12/25。世間はクリスマスの季節。周りを見ればどこもかしこもカップルだらけ。皆幸せそうに手を繋いでいて。そんな中、どうして私は1人でキャバクラへと向かっているのか。今日は辰馬さんが地球へ帰ってくる日。こういう日こそは、きちんと家へ帰ってきてくれると思ったのに、なんて。ああ、でもあの人なら仕方ないか。なんて考えては悲しくなる。余計なことは考えないでおこう、そう思い首をふるふると横に振ればさっきよりも歩くスピードを速める。今日の天気は雪。しかし私は手袋を忘れてしまった。ただでさえ冷え性だというのに。周りのカップルは皆手を繋いだり手袋をしたりと暖かそうである。
(…ああ、もう)
どうして他のカップルと私達を比べてしまうのか。昔からの悪い癖である。
「…えっ、いない?」
キャバクラに着き、いつもの人に辰馬さんはどこか聞こうとすれば「今日は来てないですよ」なんて驚きの答え。本当に?と思ったけどこんなつまらない嘘なんて吐かないだろう。それなら、辰馬さんは一体どこに行ったのだろうか。キャバクラ以外に辰馬さんが行きそうな場所。
(……キャバクラ、以外)
あれ?キャバクラ以外辰馬さんが行く場所あったっけ?なんて。そんな結論に辿り着いてしまった。彼氏が行く場所、と言われてキャバクラしか思い浮かばないあたり傍から見ればとてもカップルになんて見えないだろう。とりあえず、ずっとここにいるのもあれだろう と思い店員さんに「有難うございました」と小さくお礼をいえば外へと出る。
…もしかして、今日はもう家に帰ってる?なんて、そんな小さな期待を胸に秘め家に戻るも、そこには誰もいなくて。ああ、やっぱりいる訳なんてないよな なんて。心のどこかで納得してしまった私がいて。
……もう一度、探そう。そう思いもう一度キャバクラに行ったり、色々な所を探した。それでも見つかる気配なんて全くなくて。時間を見ればもうすぐで23:00。せっかくのクリスマスだというのに、数時間辰馬さんを探す時間に使ってしまった。
「秋沙ちゃん」
「?なんですか」
「12/25はクリスマスやき、こっちに戻ってくるぜよ」
「…!ほ、本当ですか」
「わしゃあ嘘なんか吐かんぜよ!クリスマスは一緒に過ごせたらいいとわしは思ってるけんど、どうかえ?」
―――こんな会話をしたのは、全て私の夢だったのだろうか。せっかく今年のクリスマスは辰馬さんと過ごせる、と思って楽しみにしていたのに。目頭がじわじわと熱くなっていくのが自分でも分かる。涙を零さないように、ぐっ と唇をかみ締めて家に戻ろう と思っていたその時
「っ、秋沙、ちゃん!」
ぐいっ と手を引っ張られる。その手は冷たくて、それでも心地良い冷たさの手で。目の前にはさっきまで私が探していた人、坂本辰馬がいた。目の前の辰馬さんはこんな雪が降っていて寒いというのに汗が少し垂れていて、息も切れている。
「よ、かった……家に帰ったら電気は消えとるし、秋沙ちゃんはおらんし、心配したぜよ……」
そんな辰馬さんの言葉に驚きのあまり硬直してしまう。辰馬さんが、心配。辰馬さんが………。
「…まあ、わしが帰ってくるのが遅かった というのが一番の原因じゃけど」
「!そうでした、辰馬さんさっきまでどこ行ってたんですか…?!キャバクラにもいないし、家には帰ってこないし、本当にこっちはずっと探し回ってて―――」
「あっはっはっは!すまんすまん。いやあ、いつもお世話になっとるお礼、と言えばいいのか。秋沙ちゃんへのプレゼントを探していたんぜよ!」
「―――え?」
辰馬さんの唐突な告白に思わず変な声を出してしまう。驚きのあまり何も言葉を発すことの出来ない私を置いて、辰馬さんはそのまま言葉を続ける。
「まあ、クリスマスというのもあるし。ちょうどいいと思ったんぜよ。…じゃけん、わしゃあ"女心"というものはよく分からん。…やき、おんしが気に入るものかは分からんが……」
そう言えば辰馬さんは私の後ろへ回る。その何秒か後、首にひんやりとした鉄の感触が。見れば、そこには可愛らしい星のネックレスがかけられていて。
「…う、わあ……、可愛い………」
ぽつり、
私がそういえば辰馬さんはいつもの笑顔になり「そりゃあよかった!あっはっはっは!!」なんて。近所迷惑になるような声で笑うものだから私もつい笑ってしまった。