一ピース嵌めれば凶日
ラウンジ前を通り過ぎて隊室まで向かおうとしたときのことだった。自販機の前で荒船とカゲと犬飼が見えて、雑談してたと思ったのに急にカゲが犬飼に掴みかかる。若いなあいつらケンカかよ、なんて思いながら横を通り過ぎようとすると、犬飼が持っていたペットボトルが私の足元に転がっていて気づかずに踏んづけた。からの、思いっきり顔から転倒。スローモーションに流れていく視界で荒船のゾッとした顔だけ見えた気がした。
びたん!と嫌な音がしたのは自分でもわかった。一連の漫画みたいな流れで転んでしまい、恥ずかしさから顔があげられない。
「ちょ、あっはは!名前さん!何してんの!」
「お前のペットボトルのせいだろ!馬鹿!」
「コケ方面白すぎんだろ」
「笑うなカゲ!発端はお前!」
がば、と上半身を起こし尚も笑い続けるカゲと犬飼を睨む。荒船は二人の肩を小突いている。
今日は買ったばかりの黒のシャツワンピを着ている。膝よりは少し上の丈だし、パンツは見えないだろうと思ってショーパンを履いてない。まさか転ぶなんて思ってもなかった。ぶ、無事か?倒れたまま手でワンピースの丈を確認する。捲れてはいない。
ホッとしていたところに、後ろから「名前さん」と声がかかる。振り向くと笑いをこらえている当真勇がいた。何だお前その顔。
「何やってんの。ほら、早く起きないとみっともないぜ」
「う、うん。ありがと」
手を差し出され素直に好意を受け取る。手を重ねて立ち上がると、乱れた着衣を確認した。…うん、大丈夫。カゲと犬飼に向かって「二宮に言いつけてやる」旨を述べると非常に嫌そうな顔をされた。
「てかさ!今日の名前さん可愛い。その服似合うね」
「話を逸らすな犬飼よ。でもまあ許してあげる。これ買ったばかりでお気に入りなの」
「薄給なのに服ばっかり買うなよ」
「うっさいなあ」
ていうか隊室行かなきゃ。隊長にどやされるの嫌だから急がないと。3人と当真にまたねと手を振ると隊室のほうへ走り出した。
隊室へ向かう途中、ピロン、と携帯に通知が入る。何だろう?通知を開くと当真からだった。
『もっと可愛いパンツ履けよ』
う、うるせ〜〜〜〜!!!!!!