迅が救う命
ブラックトリガーになりたかった。なりたかった、と言うのはなれなかったからだ。第二次大規模侵攻のときも、そのあとも、死ねなかった。それだけじゃない。大学の帰りに交通事故で背骨を折る大怪我をしたときも、後輩の隊員をかばってお腹に穴が空いたときも、死にたい意志とはうらはらに命は消えなかった。それもこれも、きっと迅が関わっている。
「迅、私はね、私が死なないように暗躍してくれているのを知っているよ。でもね、次からはしなくていい。私はブラックトリガーになって、みんなを守りたいんだ」
「…名前はまだブラックトリガーになる実力がないでしょ。犬死にがいいとこ」
「酷いこと言うね。当たってるけど」
「だから、ブラックトリガーになる未来が見えるまで。その時までは俺に名前を守らせてよ」
そんなに泣きそうな顔で言わないでよ。私が悪者みたいじゃんか。張り詰めた糸が弾けてしまえばきっと涙がこぼれてしまう。そんな一歩手前で迅は闘っている。
ブラックトリガーになったら、誰にでも起動ができればいいと思ってる。みんなが適合者。トリガーの内容は、うまく言えないけどこう、大きな盾とか、トリオンを回復できるとか、そういうのであればいい。誰も守れない私が居たということを最期の最期まで記憶に残るように。あなたに覚えておいてほしい。