迅悠一
どちらからともなく始まったキスが終わると、悠一はなんの脈絡もなく「制服着てみてよ」と言った。首を傾げる私に悠一はもう一度同じことを言う。私は悠一の膝の上に向かい合うようにして座っていて、これから始まる行為に心を震わせていたっていうのに。悠一は青い目の奥に熱情を孕ませている。
「え、やだよ」
「たまにはそう言うのいいじゃん」
「全然良くない」
何がいいのかさっぱりわからない。卒業した高校の制服はクローゼットに綺麗にしまってあるけれど、今後使う予定は一切なく捨てるか後輩にあげようと思っていた。逃げようと腰を引くと悠一の腕でがっちり捕まえられてしまった。
「名前が制服捨てる未来が見えたから、最後に見納めさせて」
「現役のとき嫌になるくらい見たでしょ」
「それはそれ、これはこれ」
こうなった悠一は頑なだ。ぐり、と私に自身を押し付けるように腰を動かして啄むキスを落とす。それが擬似セックスのようで体の熱が上がっていく。
「名前が制服着たら、とびっきり気持ちいいことしてあげるけど、どうする?」
耳元でそう言われてしまえば、私は抵抗することができない。小さく頷くと、悠一はいい子だねと笑って私の額にキスをした。