日佐人が手伝ってくれたおかげであっという間に昼食の準備は終わった。館内放送で案内をして少し休憩。私もお腹すいたしお弁当を食べよう。広間に続々集まってくる隊員に声をかけて、好きなように食べ始めてもらう。今日はミックス弁当と生姜焼き弁当とシャケ弁当。この中ではシャケ弁当が最高に美味しい。私のオススメだ。
テーブルの一角でお弁当を食べながら追加でバーベキューの買い出し行こうかなと考える。話を聞く感じではバーベキュー目当てに早入りする隊員が居そうだし、緑川が花火を持ってきていたからもう少し揃えておこうかな。きっとみんなやるでしょ。
「お、名前いた」
「久しぶり、名前さん」
「あれ、諏訪と堤。んぐ、待って夜来るんじゃないの?」
「早めに用事片付いたからドライブがてら来たんだわ」
唐突に声をかけられて驚く。思いの外早い諏訪隊の集合だ。おサノもいれば完璧だったのにな。それにしてもドライブかぁ楽しそう。まぜてほしい。お昼食べた?お弁当あるよと言えば来る途中でラーメン食べて来たらしい。何それ本当に誘ってほしかった。
「久々の再会を喜びたいところなんだけど、お弁当のシャケが美味しすぎるからちょっと待って」
「変わんねぇなお前」
「食べ終わったら部屋とか案内するから」
かきこむのは勿体無いけど、諏訪と堤を待たせるのも悪いので急いでお弁当を食べる。もごもごと口に詰めなんとか食べ終えるとお茶を飲んでから立ち上がった。
「ねえ施設内案内終わったら手伝ってほしいことあるんだけど」
「あ?なんだよ」
「夜のバーベキューの追加買い出し手伝って」
私も諏訪と堤とドライブしたい。
昼食を食べ終えていた日佐人も誘って元諏訪隊メンバーで車に乗り込んだ。合宿所にいる隊員には、もしトラブルが起きたときは寝室で休んでる冬島さんに言えって通達入れたし大丈夫だな、うん。
諏訪が運転席、私が助手席、後部座席に堤と日佐人。あ〜この感じ懐かしい。私が諏訪隊にいた頃もこうやってご飯食べに行ったなぁ。
「買い出しって何買うんだよ」
「えーと、追加で肉と花火」
「花火やるんですか?」
「うん、緑川が打ち上げ花火めちゃくちゃ持ってきててさ。手持ち花火もあったほうがいいかなって」
諏訪が車を運転しながら笑っている。懐かしい横顔に足りないのは、口元のタバコだけ。常にタバコを吸ってるようなヘビースモーカーだったし、禁煙してるっていうのは本当なんだな。
「ねえ諏訪、この車喫煙車なのは変わりないよね?」
「…ああ?お前まだやめてねーのかよ」
「うん。吸っていい?」
「勝手にしろ」
後部座席のふたりにも断りを入れて、助手席の窓を開ける。箱からタバコを取り出して火をつけると、匂いに諏訪が顔をしかめた。
「何だこの甘ったるい匂い」
「タバコ変えたんだよ、女らしくね」
「前はくせーの吸ってたのにな」
「匂い嗅いで吸いたくならないの?」
ふう、と煙を吐き出しながら言うと、別に。と素っ気ない言葉が返ってくる。私は寂しいよ、諏訪がタバコ吸ってないの。
「堤ぃー、諏訪が冷たい。私に付き合って一本吸え」
「俺ですか…?」
「じゃあ日佐人…はまだ吸えないか〜」
「後輩イジメんなよ馬鹿」
近くのスーパーにつくと、私はまたタバコを一本吸った。他の三人は先に店に入って肉を見ているらしい。経費で落とすからじゃんじゃん買っちゃおう。どうせ余ったらまたバーベキューをすればいい。甘ったるい煙を肺に入れて吐き出すと火を消して吸い殻をスーパーの灰皿に捨てた。
カートにぼこぼこ肉のパックを投げ入れていく三人の姿は面白かった。こっそり写真を撮ったのであとでおサノに送ろう。今度はまた5人で遊ぼうねって。
「何キロあれば足りんだ」
「わかんないから適当に入れて」
「野菜も買いましょうよ」
あっという間にカート上のかごがいっぱいになって、乗せ切れない分を堤が持ってくれた。急に大家族の父親感が出てきて思わず笑ってしまう。
「あとは花火かぁ、花火もたくさん買おうね」
「打ち上げ花火は緑川が持ってきたんだよな」
「うん。だから買うのは手持ち花火メインかな。あ、ねずみ花火100個セットだって」
「馬鹿あぶねえだろそんなの買わねえぞ」
「じゃあへび花火100個」
「それは地味」
馬鹿みたいな会話をしながら、私は楽しくてずっと笑っていた。ああでも、自分からこの場所を捨ててしまったんだよな。昔のことを思い出して少し胸がいたんだ。駄目だ、またタバコを吸わなきゃ。笑ってる諏訪も、堤も、日佐人も、大好きなんだよ本当に。