「あれ?お前昨日諏訪さんとドライブじゃなかった?なんで生きてんの?」
「人を死んでる前提で話すのやめてくれる?」

暇だしランク戦しようかなーくらいの気持ちでブース前を彷徨いていると、前から来た髭に声をかけられた。死んでないし生きてるってば。足ついてるだろ。失礼だな。
「いや俺はこれでも心配してたんだぜ」なんて、お前の車には一生乗らないって言ってたやつがどの口で語るんだか、なぁ太刀川よ。

「で、どうだった?事故った?」
「何かやらかした前提で聞くのやめてもらえるかな!?」
「だって名前マリカー超弱いじゃん。まともに運転できると思えない」

太刀川の退室でマリカーしたときのことを蒸し返される。あのときは国近ちゃんにバナナ置かれたり亀投げられたりでボコボコにされたからね、普通の運転ならできるんだわ。ゲームと現実をごっちゃにしないで欲しい。あーでも、やらかしたといえばやらかしたのかなアレ。諏訪さんは笑ってくれたけど。

「んとね、適当に運転してたら帰り道わかんなくなっちゃって、諏訪さんに運転代わってもらった」
「あーまあお前が運転するよりいいんじゃね?」
「乗ったことないくせによく言うわ。てかさ、諏訪さんさ、駐車するときに助手席に腕回すんだよ。あれ何?諏訪さんなのに不覚にもドキッとしちゃったよ。諏訪さんなのに」
「はいはい名前ちゃん、話はランク戦しながら聞きますからね〜」
「やだ!太刀川とはやりたくない!やめて!引きずるな!」

待て待て急にスイッチ切り替えるのやめて。いま雑談してたじゃん。仲いいからってランク戦をするかと言えば別、ポイントカモられるだけだし。ブースへずるずる連行されそうになるのを必至で抵抗しながら周りに助けを求める。力つっよこの戦闘ゴリラ。意味分かんない。誰か助けて!誰か!!ブース前にいた隊員たちには次々に目を逸らされる。緑川!緑川駿!おい目を逸らすな!笑うな米屋!手を合わせるな出水!助けて!

「10本じゃなくて5本にまけてやるから」とか言ってる太刀川黙らせたい。そういう問題じゃない。無理無理、と抵抗すると見知った顔がちょうど見える。救世主だ!私は力の限り手を振ると向こうはギョッとしながら近づいてきてくれた。わ、なんか面倒くさそうな顔してる。

「すわ、諏訪さん!諏訪さん助けて!一生のお願い!」
「お前の一生のお願い軽いな〜」
「うるせーぞ名字何してんだ。太刀川も」
「こいつが諏訪さんとドライブして好きになっちゃったって惚気けるんでちょっくらボコボコにしてやろうかと思って」
「太刀川!?惚気けてない惚気けてない!ただ運転する姿は諏訪さんなのにカッコ良かったって言っただけです!」
「それ俺はどう反応すればいいんだよ」
「とりあえずボコボコにしてくるんで」
「おー、まあ程々にな」
「す!!!わ!!!さ!!!ん!!!」

一生のお願いって言ったじゃん!!恨んでやる。ぬぬぬ、と恨めしい視線を諏訪さんに送ると、諏訪さんと目があってため息をつかれた。

「…太刀川、そいつ、俺と待ち合わせしてたんだよ。俺が名字の車に忘れ物したから持ってきてもらう約束してんだ」
「ほお、ふぅ〜ん…?」
「そ、そういうこと!太刀川離して!」
「ふぅ〜んなるほどね〜まあ諏訪さんがそう言うならいいけど」
「あっちに三バカいるからそっちとランク戦やって」

神だ。恨むの撤回。諏訪さん大好き。なんとか太刀川を振りほどくと、太刀川はあっさり引き下がり三バカのほうへ近づいていった。私を笑ったバチが当たったな。南無。
嘘をついて守ってくれた諏訪さんに頭を下げる。

「諏訪さん、助けてくれてありがとう、そういう面倒みのいいところ本当好きです」

助かった。生き永らえた。ほっとしてそう言うと、諏訪さんに「名字ほんとお前そういうとこだよな」と言われた。何が?
諏訪さん、車買ったよ!後日談