ふぅ、と審神者から小さく息が溢れ落ちた。
お茶を淹れながら大丈夫かと問おうとすれば、こちらが発する前に「だってね」と審神者は笑った。
「政府からの命とはいえ、折角来てくれた刀を毎日1振以上は解かなきゃならないの、わたしはどうかと思うのよ。
錬結だってそう。新しい刀をお迎えできた直後ならまだしも、うちの刀はみーんなあなた方政府のお決めになられた上限いっぱいまで能力上げきってますよー、って感じで。
免除するか上限引き上げるかくらいして欲しいわよねまったく。」
そうなのか。その上限とやらがなければもっと強くなることができるのか。
なるほどな、と思った。もしそうなら、今より更に強くなることができるのなら、この人の身を与えてくれた審神者の役に立てることがもっともっと増えるかもしれないのに。残念だ。
惜しんでいることが理解っているかのように審神者は笑う。
「政府は何を怖がっているんでしょうね。わたしの、わたしたちの、こんなに強くて優しい刀達が意味もなく脅威になる筈がないのに。
これ以上強くなったとて、既に止められる訳がないというのに。ねえ?」
優しいてのひらが本体を撫でてくれる。あたたかい。
鋼にはない、人の子の温度。いのちあるものが燃えている証。守るべき、何よりも優先するべき審神者の霊力。
確かになあ、と腑に落ちた。たかが人の子の集い、我らが主が望むのならば蹂躙するくらい容易いのだろう。
きっと、納得していることも審神者は理解っているのだと思う。
美しい顔で、全てが当然であるという自信を持って、主はふふと微笑んでいた。
(近侍と審神者)