はるがすみ
[二]倉庫

キカイ(1→2)


キカイでも夢をみる。当然、人間のそれと全く同じと言うわけではない。それは博士がそう作ったから。
そしてその夢の中でなら、あいつは全くの別人となっていた。俺が行く先々に着いてきては口煩く言ってくる奴が、俺の命令通りに動く。可哀想だとか、痛わしいだとか、そんな思考を俺にぶつけてくることもない。
そう、俺には理解できない良心という思考。俺はそんなもの邪魔だと思う。でもあいつは、俺にも良い心があると言う。良心回路はお前の体にしか入っていないのに、それを言ってやってもそういうことじゃないと笑う。いつもそうやって俺の思考回路を混乱させる。
だけど、この夢の中では違う。あいつはわけのわからない行動はとらない。キカイらしいキカイであり続ける。

「でもそれがあいつ・・・?」

違う、違う。こんなものはあいつじゃない。何が違う?
センサーはちゃんと反応がある。あいつということは何だ?検索、ロボット個々の認証、ボディ、部品、、・・・違う。どうして判らない?あいつが関係すると、決まって俺の性能が下がる。空間共有で性能が下がる可能性・・・そんな機能があいつに付いているはずない。まったく、いつもこれだ。もういい、一度シャットダウンして・・・

「あ、おはよう兄さん。なんだか苦しそうだったけど・・・大丈夫?」

あぁ、そうか。あれは夢だったのか。これが現実のお前。起きた途端に俺の思考回路をかき乱すやつ。結局夢にいようが現実にいようが、こいつは俺を混乱させる。それなら、定義がないなら、これから自分でつくればいい。データを入れればいいんだ。

「兄さんどうしたの?今度はすごく嬉しそうだ。どこか調子が悪いのかなぁ。メンテナンスしてあげようか?」

ほらみろ。こういうのは・・・お節介って言うんだぜ。

「いらねぇよ。それより、どっか出掛けようぜ、二人で」

とりあえず、今の定義。命令を聞く奴じゃない。命令じゃなくてお願いをすれば嬉しそうな顔をする、こいつがジローだ。



初:2010.4.15














ALICE+