はるがすみ
[二]倉庫

BSR(家三)


幾千幾万の世を渡り歩いて来た。
幾千幾万の死と生を繰り返し、
幾千幾万の記憶を刻み、
幾千幾万の“奴”と出会い、
唯一つの憎悪をぶつけ続けた。
そして今。幾万目かの私がふと気付く。

「みつ、なり?」
「…あぁ」
「その…この世も、記憶はある、のか?」

これだけ多くの世界を旅しながら此処に生まれてきたのは。
憎しみと怒りだけを振りかざして走り続けた自分と、憎しみと怒りに振り回されて空虚ばかりを食らった自分。
たったそれだけだ。

「覚えている。何もかも」
「そう、か。ならば三成、やはりお前は、ワシを…」
「許しはしないな。

そして憎しみと怒り以外の自分に気付いた。
幾多の想いを重ねた自分に。

……だが、貴様を憎むのはやめだ」
「……え?」

今目の前にいる、今この瞬間を流れる世に生きるこいつと。
今ここに立ち、今この瞬間を流れる世に生きる私と。
そんな二人の想いを生きる。

「ただそれだけの、そうだ、こんなにも当たり前のことだったのだ」




初:2010.10.6
一応転生ネタです。
家三の難しさは着地点を探す所ですね。幸せも不幸もどっちも難しい・・・














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