はるがすみ
[二]倉庫

アサクリ(レオエツ)


「おかえりなさい、エツィオ」

写本を土産にアトリエを訪れたエツィオをレオナルドが迎える。

「ただいま、レオナルド。最近君はいつも『おかえり』と言うな。おかげで俺はここが自分の家みたいな気分だ」
「それは光栄です。私はね、エツィオ、あなたにおかえりなさいと言えることが嬉しいのですよ。あなたが生きて無事でいてくれたと」

言葉通りの表情で話すレオナルドにエツィオは複雑な心境だった。

「君には心配ばかりかけているようだな。俺は、そんなに頼りないだろうか」
「そういう意味ではありませんよ。だってあなたが十分に強いことは知っていますし、あなたを助ける味方はたくさんいます。ですが戦いの中では何が起こるかわかりませんから」
「そう、だな。その通りなんだ。俺もできることなら、ただいまの度に次の再会を君に約束したいのだけれど…」

エツィオは体を縮めるように言い淀む。そんな約束ができるほどエツィオももう子供ではなかった。

「ふふ。ありがとうございます。私はあなたのそういう素直なところがとても好きですよ」
「すまない」
「謝らないでください。私だってそんな約束であなたから自由を奪いたくありませんよ」
「それでも、できるだけの努力はするよ。君におかえりと言ってもらうために」
「そうして下さい。あ、ついでに、言葉だけではなくこうして私からのキスを受けとるためにも努力していただきたいですね」
「っ……レオナルド!」

レオナルドからの唐突な口付けに頬を染めて慌てるエツィオ。普段プレイボーイな彼には珍しい姿だ。

「君には翻弄されてばかりだ。君が敵だったら俺はあっと言う間にやられているな」
「あなたのような方を倒すなんて勿体ないことを私がすると?それは心外ですね、エツィオ。もしあなたが敵なら私はあなたを捕らえて連れ帰ります」
「……君が味方で本当に良かったよ」
「そうでしょう?ところで、こうしてお喋りに付き合ってくださるということは、この後はゆっくりできるのですよね?それならどうぞ、あなたの家で好きなだけくつろいでいってください」
「あぁ、そうさせてもらうよ」



*

私がこうしてあなたにキスひとつ送るだけにどれだけ喜びを感じているか、あなたは知っていますか?
永遠に傍にとは望みません。それをするには、互いにやらねばならないことが多すぎます。
それなら無理をすることはないでしょう。私たちは、私たちらしい早さの時を刻みましょう。

ある日は目覚めにキスを。
ある日は再会にキスを。
ある日は眠る前にキスをひとつ送って。

*

俺がこうして君にキスひとつもらうだけでどれだけ舞い上がっているか、君は知っているだろうか?
君が変わらずに俺を迎えてくれるだけでいい。アサシンである俺にはそれさえ尊く贅沢なことだ。
だから俺は戦いが熾烈になっても生き抜くためにもがき続ける。

ある日の目覚めのキスを。
ある日の再会のキスを。
ある日の眠る前のキスを想って。

*

触れ合う二人の時間を月明かりがゆっくりと照らす。




初:2014.9.7
この前の日がアサクリ好きなふぉろわさんのお誕生日だったこともあって書いたもの。
レオエツはコメディ系でもなんでも、でろんでろんに心が幸せなものが好きです。














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