はるがすみ
[二]倉庫
It's my first time to..#4
「それで?巡回ドローンが何を見つけたって?」
「お前さんは…。監視官の話を聞いてなかったのか。」
「俺があいつの話、聞くと思う?大物の事件ならともかく。どーせ小物だろ。」
公安局の所有する護送車。二人の男刑事が車内の左右にあるシートそれぞれに座っている。
一人は40代半ばだろうか、ベテラン刑事の風貌を匂わせている彼の何より特徴的なのは左手の義手だ。
もう一人は20代前半で、若者らしい短く切られた髪は茶色く、気怠そうに腕を頭の後ろで組んでは護送車の壁に寄りかかっている。
「確かに、そんなに大事じゃあなさそうだがなぁ。」
そこで男は手首の端末を動かし、資料を呼び出す。
支主一之、19歳。日東学院に通うこの少年が家に戻らないと心配した家族から通報があったのが6日ほど前。該当スキャナにも引っかからず、何かの事件に巻き込まれた可能性もあるとドローン等による捜索が行われていた。
その支主の姿を巡回中のドローンがほんの数時間前にとらえたのである。その際に計測されたサイコパスに問題があったこと、また支主が見つかった付近に広がる無人であるはずの倉庫区画に人の姿があること、これらいくつかの要素から刑事課に出動要請が下ったのである。
「エリート学生君がいっぱしに不良にでも憧れたんだろ。どうせ保護してセラピー送りにするだけだろうに、なーんで俺らが出てこなきゃいけないかね。」
「事件の可能性があると判断されたんだ。お前だって本心から何もなく保護できるとは思ってないだろう?」
「まぁねぇ。いくら少年の火遊びっつっても、こんな怪しい場所でってのは気になるかな。」
「相手はまだ学生だ。前みたいに挑発して犯罪係数上げるようなことはやめておいてくれよ。」
そうこう言っている内に二人の刑事を乗せた護送車が現場付近に到着する。
「さて、どうしようかな。一人くらい面白そうなやつがいたら…。」
「おい。」
「冗談だって、とっつぁん。さっさと終わらせようぜ。」
窘めるベテラン刑事に軽く返事をした男は、一度伸びをしてから気怠い雰囲気をそのままにゆっくりと護送車から降りていった。
(#5へつづく)
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